東海地方を地盤とする多くの上場企業がこの1年間の決算を発表した。前年度(2026年3月期)は「トランプ関税」の衝撃に揺れたが、今年度(27年3月期)は中東情勢の悪化による不透明感が漂う。各社の経営陣からは、先行きへの警戒感と自信が交錯した。
トヨタ自動車は8日、27年3月期決算の最終的なもうけを示す純利益が、前年より22.0%減の3兆円になりそうだと発表した。中東情勢の緊迫が今後も続くとの想定だ。トヨタは中東向けに、日本などから年間50万~60万台の車を輸出している。大型SUV(スポーツ用多目的車)やピックアップトラックといった「もうけ」の大きい車がよく売れている。だが、ホルムズ海峡が事実上封鎖されているため、迂回ルートを使って輸送を続けているものの、例年の半分ほどに落ち込みそうだ。石油由来の資材高騰などの打撃も大きく、中東情勢の影響で営業利益を6700億円押し下げると見込んだ。
減益となれば3年連続になる。宮崎洋一副社長は、「重く受け止めている」とした。「稼ぐ力」を高めるために、金融事業など新車販売以外の「バリューチェーン」収益のさらなる強化のほか、「陸・海・空での新たなモビリティー(移動手段)の提供や(物流など向け)ロボティクスに取り組む」と語った。
中東危機の影響、トヨタグループ各社にも
中東情勢の悪化による影響はトヨタグループ各社にも及んでいる。部品メーカーなどは原油高による原材料費の上昇や物流の混乱に直面しており、今後の業績見通しに不透明感が強まっている。
一方、JR東海は売上高が初めて2兆円を超え、大阪・関西万博や訪日客の増加が寄与した。しかし、中東情勢の悪化による燃料費高騰が収益を圧迫する可能性があると指摘する。
石油元売りや商社にも影響
石油元売り各社は原油高が純利益を押し上げたが、供給コスト増による価格転嫁が課題となっている。大手商社は最高益を更新する企業が相次いだが、中東情勢の悪化をリスク要因として挙げる。
名古屋証券取引所では、名古屋銀行などの決算会見が相次いだ。地域金融機関も中東情勢の影響による企業業績の悪化を懸念し、貸出先のリスク管理を強化する方針だ。
東海地方の経済は自動車産業を中心に成長してきたが、地政学的リスクが新たな試練となっている。各社のトップは、先行きに対する警戒感を示しながらも、長期的な成長戦略への自信をにじませている。



