連載「減反は何をもたらしたのか」の最終回となる第6回では、コメ政策の行方と市場の課題を深掘りする。
消費者の実感:価格は高いまま
「下がったと言うけれど、コメの値段は高いままで変わっていないと感じます」。4月下旬、東京都内のスーパーで買い物をしていた40代のパート女性はこう嘆く。小学生の子ども2人と夫の4人暮らしで、支出を抑えるため、米価が高騰してからは銘柄米から価格の安いブレンド米に切り替えた。「本当にコメは余っているのでしょうか」と首をかしげる。
需給の変化:在庫は急増も価格は高止まり
スーパーなどからコメが消えた令和の米騒動から1年余。現在のコメをめぐる需給状況は当時とは一変した。卸大手は「コメの適正価格がわからない」と戸惑う。需給の目安となる民間在庫量は、2025年6月末には適正水準(180万~200万トン)を下回る155万トンだったが、農林水産省の予測では2026年6月末には221万~234万トンに積み上がる見通しだ。2027年6月にはさらに増えて最大249万トンに達する可能性がある。
減反廃止を目指す石破政権が増産に舵を切った影響で、過去20年で最低レベルに縮んだ在庫が、過去最大級に膨れる勢いだ。
価格の現状:下落傾向も高水準
経済原理に基づけば、米価は急落するはずだが、実際にはそうなっていない。2026年4月27日~5月3日に全国のスーパー約1000店で販売されたコメ5キロの平均価格は3796円。年末年始のピーク(4416円)から下落しつつあるものの、2024年4月の2千円強の倍近い水準で推移している。
市場の課題:整備されぬ仕組み
専門家は「いずれまた米騒動が起きる」と警鐘を鳴らす。市場の透明性が低く、需給を適切に反映する価格形成の仕組みが整っていないことが背景にある。石破政権は減反廃止を掲げるが、市場整備が伴わなければ、再び混乱を招く恐れがある。
高市早苗政権の鈴木憲和農水相は、コメ政策の見直しについて「市場メカニズムを重視する」と述べるが、具体的な工程は示されていない。農家や消費者が納得できる持続可能なコメ政策の構築が急務となっている。
本連載では、減反政策の歴史と影響を振り返りながら、今後のコメ政策の方向性を考察してきた。最終回となる今回は、市場の課題と今後の展望を詳報する。



