コメの収穫状況を示す「作況指数」が2025年に廃止され、新たな指標「作況単収指数」が導入された。この変更は、令和の米騒動を契機として、より実態に即した統計を目指すものだ。本稿では、これらの指標の基礎知識と経緯を解説する。
作況指数とは何か
作況指数は、農林水産省が1956年から毎年公表してきたコメのできばえを示す代表的な指標である。田んぼ10アール(1千平方メートル)あたりの収量を、過去30年間の傾向から計算した平年並みの収量と比較し、ほぼ同じなら「100」とする。106以上は「良」、94以下は「不良」など、5段階で評価する。例えば、1993年は冷害による凶作で指数が74に落ち込み、「平成の米騒動」と呼ばれる社会現象を引き起こした。
廃止の背景と令和の米騒動
2025年6月、小泉進次郎農水相(当時)は作況指数の廃止を表明した。その理由として、多くの農家がより厳しい基準で出荷する米粒を選別しているため、指数が実態とずれている点が指摘された。特に、前年の指数が101で不作ではなかったにもかかわらず、スーパーなどの店頭でコメが一時的に消える「令和の米騒動」が発生したことが問題視された。この食糧不安を招いた統計の不備が、見直しの直接的なきっかけとなった。
新たな指標「作況単収指数」
農水省は当初、前年の実績と比較する方針や、大規模農家のデータを用いて収量を正確に把握する構想を示した。しかし、作況指数は農業関係者の間で広く使われてきた指標であるため、総務省の有識者会議や自民党の農業政策担当議員から強い反発が相次いだ。結局、農水省は方針を改め、ずれを抑えた後継指標を新たに作成することで決着した。
新指標は「作況単収指数」と名付けられ、2025年から過去の分も含めて公表が開始された。この指標は、過去5年分の収量のうち最低値と最高値を除いた3年分の平均と比較することで、近年の異常気象の影響をより反映できるように改良されている。これにより、より実態に即したコメのできばえ評価が可能となった。
統計見直しの意義
作況指数の廃止と新指標の導入は、統計と実態の乖離を解消するための重要な一歩である。令和の米騒動は、単なる需給バランスの問題ではなく、統計の信頼性にも根ざしていた。新たな「作況単収指数」は、異常気象が頻発する現代において、より適切な指標として機能することが期待される。農業関係者や消費者にとって、正確な情報は食料安全保障の基盤であり、今後の動向が注目される。



