日産系ディーラーが整備業者に2808台の車を無償運搬させ公取委が勧告、業界慣習に初の対応
公正取引委員会は2026年2月20日、日産系自動車ディーラーの「日産東京販売」(東京都)が車体整備業者に対して車両の無償運搬を要請していたとして、中小受託取引適正化法(旧下請法)違反を認定し、再発防止などを求める勧告を行った。こうした行為が業界で慣習化している実態を踏まえ、公取委は今後、業界団体に対して周知啓発活動を実施する方針を示した。
2024年8月から2025年7月までの間に2808台を無償運搬
公取委の発表によると、日産東京販売は遅くとも2024年8月から2025年7月までの間、顧客から依頼された板金塗装などの修理業務を25社の車体整備業者に委託する際に、車両や部品の引き取り・引き渡しに伴う運搬作業を無償で行わせていた。期間中に無償運搬させた車両は合計2808台に上り、大規模な違反行為が明らかとなった。
本来、日産東京販売側が故障車を整備業者の工場まで自ら運搬するか、委託契約に運搬費用を最初から含めておく必要があったが、いずれの措置も取られていなかった。整備業者側は、車両を積載可能な車で店舗を訪れて故障車を運搬したり、積載車を持たない業者は他の運送業者に再委託するなどして対応していた。
整備業者からは「費用請求すれば取引切られる恐れ」の声
公取委の調査に対して、整備業者側は「昔から費用を負担しているのはおかしいと思っていた」、「費用を請求すれば取引を切られる可能性があってできなかった」などと回答。業界内で長年にわたり不当な慣習が定着していた実態が浮き彫りとなった。
公取委は日産東京販売に対する勧告で、再発防止措置の実施に加えて、整備業者側が負担していた運搬費用の支払いを求めた。故障車などの無償運搬要請に対する公取委の勧告は今回が初めてであり、業界全体への波及効果が注目される。
業界慣習の是正へ向けた公取委の取り組み
今回の事案を受けて、公正取引委員会は自動車ディーラー業界における下請取引の適正化を推進する方針を明確にした。業界団体に対しては、中小受託取引適正化法の遵守を徹底するよう周知啓発を行う予定で、同様の違反行為が他社でも行われていないか監視を強化する構えだ。
この問題は、自動車修理を巡る委託取引の透明性と公平性に大きな疑問を投げかけるものであり、今後の業界改革の動向が注視される。日産東京販売は公取委の勧告を受け入れ、速やかな是正措置を講じることが求められている。



