第一生命HD、出向先金融機関から大量の内部情報を無断持ち出し
第一生命ホールディングス(HD)は2月12日、傘下の第一生命保険などグループ3社の社員64人が、出向先の28の金融機関から合計1155件の内部情報を無断で持ち出していた事実を公表しました。この問題は、日本生命保険で同様の事例が明らかになって以降、生命保険業界の大手4社すべてで発覚したことで、業界全体に不適切な慣行が蔓延していた実態が浮き彫りとなりました。
生保大手4社で計3517件の情報が無断取得
無断で取得された情報は、日本生命保険(子会社を含む)を含む大手4社で合計3517件に上り、業界内で長年にわたり不適切な行為が横行していたことが判明しています。特に第一生命は、2024年度時点で大手4社の中で最も多い約30行の金融機関に社員を出向させており、業界最多の出向先ネットワークを有していました。
銀行は、複数の生命保険会社の商品を代理店として販売する役割を担っており、生命保険各社は営業支援などの名目で出向者を派遣しています。今回の発表によれば、第一生命HDのグループ3社から地方銀行やメガバンクなど28の金融機関に出向していた社員64人が、出向先での各生命保険会社の販売シェアや他社の商品情報といった内部情報を無断で持ち出していました。
情報はグループ会社に共有され営業に活用
無断取得された情報は、主に第一生命のグループ会社である第一フロンティア生命保険に共有され、銀行に対して自社商品を売り込む営業活動に活用されていたとされています。このような行為は、出向先との信頼関係を損ない、業界全体の倫理基準に疑問を投げかける深刻な問題として指摘されています。
問題の発端は日本生命での内部調査により判明し、その後、住友生命など他の大手生命保険会社でも同様の事例が次々と発覚しました。これを受けて、生命保険業界では代理店への出向制度の見直しが進められており、原則として廃止する方向で検討が始まっています。
今回の一連の事件は、金融機関と生命保険会社の間で長年続いてきた「なれ合い」関係や、過度な営業ノルマが背景にあると見られています。業界関係者からは、組織的な指示や成果主義の弊害が指摘される中、抜本的な改革が求められる状況です。
第一生命HDは、再発防止策として内部統制の強化や従業員教育の徹底を約束していますが、業界全体の信頼回復には時間がかかる見通しです。今後、金融庁などの監督当局による調査や規制強化が行われる可能性も高く、生命保険業界のビジネス慣行に大きな変化が予想されます。



