利用が低迷するJR指宿枕崎線(鹿児島県)の指宿―枕崎間(42.1キロ)について、数字に表れづらい社会・経済的価値が現在も年間6億4900万円あるとする試算を、県や沿線3市(指宿市、南九州市、枕崎市)、JR九州などでつくる将来のあり方に関する検討会議がまとめた。JR九州は同区間の2024年度の収支を4億9200万円の赤字としているが、試算は「地域全体では費用を上回る便益が生じている」と分析している。
試算の概要
試算は2025年度、検討会議がコンサルティング会社に委託し、路線の利用状況や3市の人口、観光消費額などのデータと、住民や来訪者へのアンケート、貨客混載などの実証事業の実績などから、子育てや産業振興などへの効果を推計。金銭的価値に換算した。
分野別の価値
現在、価値が最も高いとされたのは「まちづくり、交通」分野の3億4100万円。移動の選択肢があることによる「住みやすいまちづくり」への貢献などを評価し、地域活性化策によっては将来6億4800万円に上がると推計した。「日本最南端のJR路線」と、ブランド創出が期待できる「観光振興」は、現在の2億1100万円を5億5100万円に伸ばせると試算した。全体では、潜在的価値は13億4500万円に上げられると推計している。
課題と今後の展望
一方、産業振興や人材確保への貢献は薄いと分析した。貨客混載などの地域振興策で利用を促す必要がある。JR九州が発表している2024年度の赤字額は4億9200万円だが、試算では社会的便益がそれを上回るため、路線維持の意義があると結論づけた。検討会議は今後、具体的な活性化策を検討する方針だ。



