6月16日、日本銀行は政策金利の追加利上げを決定し、0.75%程度から1.0%程度への引き上げを実施した。これにより政策金利は1995年以来、実に31年ぶりの高水準となる。この決定は住宅ローン、特に変動金利に大きな影響を及ぼすとみられ、今後の返済計画に注意が必要だ。
変動金利への影響と返済額の試算
多くの金融機関では住宅ローンの基準金利を年2回(4月・10月)見直しており、今回の利上げが反映されるのは次回10月とみられる。実際の返済額に影響が出るのはその数ヶ月後となる見通しだ。
具体的な影響を試算すると、借入額4,000万円、返済期間35年、元利均等返済の場合、金利が1.10%から1.35%に上昇すると、毎月の返済額は11万4,788円から11万9,555円へと4,767円増加する(りそな銀行のシミュレーションに基づく筆者計算)。さらに、今後の利上げ継続により政策金利が最終的に1.5%程度まで上昇するとの分析もあり、金利上昇を前提とした返済計画が求められる。
固定金利が再び注目される理由
金利上昇局面で、住宅ローン利用者の間では固定金利を選ぶ割合が増加している。住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」(2026年1月調査)によると、固定金利を利用した人は「固定期間選択型」14.9%、「全期間固定型」10.1%の合計25.0%で、前回調査から4.0ポイント増加し、4人に1人が固定金利を選択している。
固定金利の最大の魅力は返済額が一定で家計の見通しを立てやすい点だ。一方、変動金利は政策金利の影響で半年ごとに見直されるため、将来的な返済額の増減リスクがある。長期にわたる住宅ローンでは、返済額が変わらない安心感が固定金利の強みとして再評価されている。
フラット35の金利は3%台に
固定金利の代表格である「フラット35」の金利は現在3%台に達している。長期金利(新発10年国債利回り)が6月2日時点で2.6%台まで上昇したことを受け、フラット35の最低金利(返済期間21〜35年・融資率9割以下・新機構団信付き)は3.21%となり、現行制度開始の2017年以降初めて3%を超えた。
3%という数字だけ見れば高い印象を受けるが、民間銀行の固定金利と比較すると、必ずしも高くない。大手5行の2026年6月の10年固定型住宅ローンの最優遇金利は平均3.556%で、全期間固定金利(31〜35年)では三菱UFJ銀行が3.92%、みずほ銀行が最優遇で3.88%となっている。これらと比べ、35年間金利が変わらないフラット35の3.21%は低めの水準だ。
その背景には、フラット35が住宅金融支援機構による公的制度であることがある。同機構は民間金融機関が実行した住宅ローンを買い取り、住宅ローン担保証券(MBS)を発行して長期資金を調達。政府系機関としての高い信用力により、長期固定金利を比較的低い水準で提供できる。10年国債利回りが2.6%台でも35年間固定で3.21%を利用できるのは、この仕組みに支えられている。
金利上昇時代の住宅ローン選びのポイント
金利上昇が続く中、住宅ローン選びでは以下のポイントを重視すべきだ。まず、金利の低さだけで選ばないこと。変動金利は固定金利より低水準だが、将来的な上昇リスクがある。目先の金利だけでなく、上昇しても無理なく返済できるか、自身のライフプランと照らし合わせて判断する必要がある。
次に、借入額と返済負担のバランスが重要だ。審査で借りられる返済比率(年収に占める年間返済額の割合)は35%以内が一般的だが、無理なく返すには手取り年収の25%以内が理想的とされる。その上で、自身に合う金利タイプを選ぶ。変動金利は短期間での返済や繰上返済を見込む人、コストを抑えたい人、金利上昇に対応できる経済的余裕がある人に向く。固定金利は将来の金利上昇が心配な人、教育費など今後の支出増を見据える人に適している。
金利の高低だけでなく、将来のライフプランを踏まえた上で自分に合う金利タイプを選ぶことが、これからの住宅ローン選びでは欠かせない。



