「ものぐさ精神分析」で知られる精神分析学者で、和光大名誉教授の岸田秀(きしだ・しゅう)氏が25日、老衰のため死去した。92歳だった。告別式は近親者で行われた。
岸田秀氏の経歴
岸田氏は香川県出身。早稲田大学で心理学を学び、同大学大学院を経てフランスのストラスブール大学に留学。その後、和光大学の教授を務めた。
唯幻論の提唱
岸田氏は、人間は本能が壊れたため、神や国家、民主主義などの「幻想」にすがって生きているという、フロイトの理論をもとにした「唯幻論」を提唱。この独自の理論は思想界で大きな反響を呼んだ。
「ものぐさ精神分析」の成功
1977年に刊行された「ものぐさ精神分析」では、個人を対象としたフロイト流の精神分析を、国や社会、文化に適用する手法で多くの読者を獲得。評論家としても新聞などで幅広く発信し、「官僚病の起源」や「幻想の未来」など多数の著書を残した。
岸田氏の死は、日本の精神分析学界に大きな損失をもたらした。その功績は今後も語り継がれるだろう。



