映画「廃用身」(公開中)は、久坂部羊の同名小説を、脚本も務めた吉田光希監督が巧みに映像化した作品です。最大の特徴は、原作のユニークな構成をアレンジし、主人公である医師・漆原(染谷将太)の人物像をミステリアスに描いた点にあります。
物語のあらすじ
まひして回復の見込みがない手脚、いわゆる「廃用身」は、手術で切断した方が患者の生活の質向上や介護負担の軽減につながる。そう考えた医師の漆原は、「切断手術」という強い言葉を「Aケア」と言い換え、自身のクリニック利用者たちに施していきます。予想外の良い“副作用”が現れる一方、やがてメディアが「悪魔の所業」と騒ぎ立て、事態は一変します。
原作と映画の違い
原作は前半が漆原による独白形式の手記で、後半は編集者による補足文章で構成されています。映画はこの独白スタイルを取り払い、視点を三人称に変更。漆原の感情吐露や表情変化を抑え、全編にわたって説明的な要素を最小限にすることで、主人公をミステリアスに描き、エンターテインメント性を高めています。
「何を写さないか」の巧みさ
本作のもう一つの見どころは、「何を写さないか」という点に細やかに配慮していることです。あえて映像化しない部分や省略された描写が、観客の想像力を刺激し、作品の深みを増しています。詳細な解説や、映画オリジナルで加えた要素、異なる結末、原作の方が濃い要素については、YouTubeチャンネル「うるおうリコメンド」(うるりこ)の解説動画でご覧いただけます。
作品情報
- 出演:染谷将太、北村有起哉、瀧内公美、廣末哲万、中村映里子、中井友望、吉岡睦雄、六平直政
- 原作:久坂部羊「廃用身」(幻冬舎文庫)
- 監督・脚本:吉田光希
- 音楽:世武裕子
- 配給:アークエンタテインメント
映画「廃用身」は5月15日(金)より全国公開中です。解説動画と併せてお楽しみください。



