連載完結記念スペシャル対談
前立腺がんを患いながらラジオ番組のパーソナリティーを続けるつボイノリオ。治療と仕事を両立する姿を紹介する本紙朝刊カルチャー面の連載「同病相励ます~つボイノリオ がん闘病記~」が9日付の第23回で終了した。今回は特別編として、つボイと脳性まひに由来する独特の話し方を生かして映画やドラマに出演する俳優神戸浩の対談を掲載する。
連載を振り返って
つボイ:病気になると心も体も弱るが、他人を思いやる気持ちが湧く。がんになるとは思わなかったが、連載の読者やCBCラジオ「つボイノリオの聞けば聞くほど」のリスナーらの気持ちを受け取ることができた。
神戸:内緒にしておけばいいのにと思った。でも番組にお便りがいっぱいきたので、正解だった。
同病相励ます
つボイ:病気になると「なんで私が」と感じるが、皆が「私も」と言ってくれて。一人じゃないと思えることはエネルギーになる。
神戸:午前9時につボイさんの「皆さーん」というあいさつを聴いて、一日頑張ろうと思える。
障害を個性に
神戸:劇作家北村想さんの劇団で使ってもらい、せりふの少ない役などで個性を生かせればいいと。
つボイ:よく北村さんの劇団に入ったと思う。自分の力で頑張った。
表現者の力
つボイ:歌舞伎俳優の六代目中村歌右衛門さんも落語家の林家彦六師匠も、舞台に立つと、きちっとしゃべったという。障害があっても残された能力で頑張れる。表現者は皆、同じだ。
神戸:時代劇「水戸黄門」の撮影で、付き人に支えられていた俳優の東野英治郎さんが、本番では一人で話す姿はすごかった。つボイさんはがんになってからしゃべりがうまくなった。
つボイ:うれしい。年を取り病気になると無限が有限になる。日常が永遠に続くわけではない。昔はラジオで話す機会は貴重だったから余計頑張りたくなる。
尊敬する人
つボイ:永六輔さんは晩年、寝ているのか起きているのか分からなくても急に「それはですね」と語っていた。永さんがそこにいるだけいいという雰囲気だった。
神戸:俳優の渥美清さん。しんどい時に一緒だった。遺作となった映画「男はつらいよ 寅次郎紅の花」の撮影で、渥美さんはせりふが出てこなくて。何度も確認する姿を今も思い出す。がんとは知らず「なんで」と思ったけど、今思えば…。頑張って皆生きているんだ。
読者へのメッセージ
神戸:つボイさんの「皆さーん」を毎日ずっと聴き続けられるように、皆さん一緒に頑張ろう。
つボイ:どんな軽い病気でも、指先にとげが刺さったけがだけでも不自由なものだ。苦労している者同士、これからも残された能力で人生を頑張りたい。
読者からの反響
本紙やCBCラジオに寄せられた連載の感想を紹介する。
手紙を寄せた、京都市内の病院に入院中の丸山純さん(71)は前立腺がんと心筋梗塞を患った後、小脳出血で倒れた。手足が不自由になり気持ちが落ち込んでいた中で名古屋の友人からコラムの切り抜きが届き、妻に読んでもらった。
「初めのうちは泣きながら聞いていたが、だんだんそうそうとうなずいたり、時にはクスッと笑ったり…」。小脳出血によるまひがありながらフォークシンガーとして歌い続ける江口晶さんを紹介した第14回の記事は何度も読み聞かせてもらい「おかげでリハビリを頑張れている」と記した。
娘の夫が40代で前立腺がんと診断されたという名古屋市南区の永田玲子さん(74)は「参考になった。切り抜いてお守り代わりにしている」。愛知県豊橋市の女性(76)は、病気になってラジオの投稿から離れていたが「このコーナーでゆっくりつボイさんにお会いした気持ちだった」とはがきに書いた。
番組にはメールも届いた。愛知県東海市の女性(73)は「これからも楽しみに番組を聴く」と期待し、整形外科の開業医という津市の男性(63)は「どうでもいいやと思うことでも気楽に医者に話してほしい」と呼びかけた。



