「亡き王女のためのパヴァーヌ」「ボレロ」など数々の名曲を生み出した作曲家モーリス・ラベルは、晩年に自身の作品さえも忘れてしまうほどの記憶障害に苦しんだ。その苦悩を音楽とダンス、演劇で描く舞台作品「ラヴェル最期の日々」が、6月27日と28日に東京・新国立劇場で上演される。
音楽とダンス、演劇の融合
本作は、作曲家でピアニストの加藤昌則が発案し、現在休館中の東京文化会館が中高生向けオリジナル作品「シアター・デビュー・プログラム」として制作。2024年の初演では、ラベルの境遇に涙を流す観客が続出する話題作となった。
舞台では、加藤昌則らがラベルのさまざまな楽曲をピアノ、バイオリン、チェロ、バンドネオンの編成で演奏。演出と脚本は脚本家の岩崎正裕が手がけ、セリフのないラベル役をダンサーの小尻健太、語りと演技で物語を進める友人役を俳優の西尾友樹が務める。
加藤昌則が語るラベルへの思い
加藤にとってラベルは「好きな作曲家」であり、特にピアノ協奏曲第2楽章のゆったりとした旋律を弾くシーンには強い思い入れがあるという。「何でこんなに美しい音楽が生み出せるのだろう」と、弾くたびに同じ作曲家として嫉妬にも似た感情が湧き上がるほど心を打たれると語る。
ラベルの音楽に乗せてたどる波乱の生涯について、加藤は「大作曲家ラベルもさまざまな挫折を経験し、コンプレックスもあったはず。その人生を知ることで、より深く音楽を感じ、心のひだが増える感覚が得られると思います」と力を込めた。
今後の公演予定
本作は来年1月には北九州芸術劇場でも上演される予定だ。中高生はもちろん、幅広い世代にラベルの音楽と人生を体感できる貴重な機会となる。



