福岡ソフトバンクホークスは、同球団主催のロックイベント「THE GREATEST ROCK FUKUOKA」(愛称:FUKU ROCK、8月29日開催)の公式サイトで、後藤芳光社長とハードロック/ヘヴィ・メタル専門誌『BURRN!』編集長・広瀬和生氏の対談記事を公開した。みずほPayPayドーム福岡を舞台に初開催される本格ロックイベントについて、なぜ今「大人世代向け」のロックイベントを立ち上げたのか、その背景や狙いが語られている。
大人世代向けロックイベントを立ち上げた理由
対談で後藤社長は、福岡ドームと呼ばれていた時代にはボン・ジョヴィ、ビリー・ジョエル、マドンナ、マイケル・ジャクソンといった洋楽の大物が頻繁に来ていたが、最近は特に洋楽アーティストを福岡に呼べなくなったと指摘。海外アーティストの来日時の滞在が短く、東京と大阪だけで公演を終えるのが一般的になっていると述べた。東京で連続公演を行えばコストを按分できるが、福岡で1日だけ公演するとステージコストを丸ごと負担する必要がある。チケット価格の高騰や、日本と海外のエンターテインメントのプライシングにギャップがあることも背景にあるという。
後藤社長は、野球でも同様の話があり、アメリカの友人からワールドシリーズのチケットは「1万ドルくらい払えば、そこそこいい席が取れる」と言われたと紹介。日本円で約150万円になるが、日本と海外ではチケット価格の感覚にギャップがあると説明した。一方で、サザンオールスターズやミスチルが来ると、50代から70代の購買力と時間のある世代が動くとして、そうしたマーケットへのアクセスを目指したと語った。
「大人世代向け」という選択と海外の3世代文化
広瀬編集長は、若年層向けイベントがJ-POPやJ-ROCK中心になるのに対し、50代以上の世代は70年代、80年代のロックを聴いて育っており、行動力もあるため、その層に向けたイベントは意義があると評価。海外では3世代で一緒にコンサートに行くのが当たり前だが、日本はそうなっていないとし、今回の試みが海外のような形に近づくきっかけになることを期待した。また、ジャーニーがフェアウェルツアーを掲げていることから、早くやらないと年を取ってしまうという切実な問題もあると述べた。
球団経営ではなくエンターテインメント事業として
後藤社長は、球団経営という狭い視点ではなく、ソフトバンクホークスは「エンターテインメントで世界一になる」ことを目指していると説明。みずほPayPayドーム福岡を野球で使うのは年間100日にも満たず、残りの250日以上を他のことに使えるとし、それを活用しないのは収益機会の損失だと指摘した。音楽と野球には共通点があり、コンサートのオーディエンスには楽器をいじったことがあるプレイヤー系と純粋なオーディエンスの2パターンがいるが、野球も同様だと述べた。また、野球シーズンは野球を重視し、オフシーズンは音楽を中心としたエンターテインメントで盛り上げたいと語った。
洋楽×邦楽ミックスの理由と福岡の意義
ジャーニーがヘッドライナーを務める今回のイベントでは、日本のバンドと海外のバンドが共演する。後藤社長は、最初は洋楽一本で行くことも考えたが、1回目から洋楽だけでラインナップを揃えるのは難しいと判断し、邦楽を組み合わせることで幅広い集客を期待したと説明。広瀬編集長は、「洋楽・邦楽」という区分自体が古く、情報の壁がなくなった時代に音楽業界にその壁があるのはおかしいとし、今回の試みが壁を壊すきっかけになればと述べた。
福岡で開催する意義について、後藤社長は福岡が音楽への思いが強いエリアで、ミュージシャンも多いと指摘。最近ミュージシャンが福岡に来なくなっている状況を深刻な問題と感じ、「そうじゃないんだ」というメッセージを出したいと語った。広瀬編集長は、もともと「めんたいロック」という言葉があったほど福岡は音楽の街であり、福岡でやるということが大きなインパクトになると評価。継続的にやっていくという後藤社長の意向にも期待を示した。
見どころとファンへのメッセージ
広瀬編集長は、ジャーニー、ナイトレンジャー、LOUDNESS、RED WARRIORS、HOUND DOG、BAND-MAIDの出演に触れ、大人のみなさんに心ゆくまで楽しんでほしいと語った。ジャーニーがフェアウェルツアーの最中に福岡に来てくれることや、ナイトレンジャーが「もう来ない」と言われていた中で来てくれることの意義を強調した。
後藤社長は、BAND-MAIDに出演してほしかった理由として、自分たちの世代には女性バンドが少ないことを挙げ、楽しみにしていると述べた。最後に、ようやく福岡で本格的なロックイベントをスタートできる喜びを語り、ファンに「自分の中のロック魂を揺さぶられるような1日を楽しんでもらえたら」とメッセージを送った。



