音楽イベントにおける混雑事故を防ぐため、消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)が2025年秋から調査を開始した。きっかけは新潟県のコンサート会場で発生した予期せぬ混雑だった。調査を進めると、その原因の一端にチケットの不正転売が関わっていることが浮かび上がった。
混雑の舞台裏:転売ヤーの暗躍
混雑が発生したコンサートの主催者は「ヤング・コミュニケーション(YC社)」。YC社は「STARTO ENTERTAINMENT」所属タレントの公演を手がけている。同社によると、当該公演のチケットは法律で転売が禁じられており、当選した座席以外での観覧も主催者の販売規約で禁止されていた。
しかし、当日会場にいた複数のファンによると、混雑の背景にはチケットの不正転売が絡んでいたという。転売ヤーが高額でチケットを販売し、購入者が指定された座席を無視して、より良い席を求めて移動する「いい座席はセリに」という行為が横行していた。これにより、通路や立ち見エリアに人が集中し、危険な状態を引き起こした。
スマホチケットの普及と新たな課題
コンサートなどのチケット発券にはスマートフォンが使われることが増えている。この方式は転売防止に有効とされるが、不正転売の手口も巧妙化している。転売ヤーはスマホ画面のスクリーンショットを販売したり、アカウントごと譲渡するなどの方法で規約をすり抜けている。YC社の担当者は「転売ヤーの対策はいたちごっこだ。法的規制だけでなく、技術的な対策も強化する必要がある」とコメントしている。
ファンが語る実態
会場にいた30代の女性ファンは「自分の席は後方だったのに、前方の空席に座っている人がたくさんいた。スタッフが注意しても、『友達と変わった』と言い訳するだけだった」と証言する。別の20代男性ファンは「転売サイトで定価の3倍でチケットを買ったが、届いたのはスクリーンショットだけで、会場で入れなかった人もいた」と明かす。
消費者庁の担当者は「転売は単なる経済問題ではなく、安全上のリスクを伴う。今回の調査結果を踏まえ、規制強化を検討する」と述べている。



