天皇陛下は2026年6月11日、オランダとベルギーへの公式訪問を前に記者会見を開き、国会で議論されている皇族数確保案について異例のご発言をされた。皇室研究家で神道学者の高森明勅氏は、陛下が「国民の理解が得られるものとなることを」と述べた背景には、現状への深い不安と危惧があると分析する。
異例のご発言とその背景
天皇陛下はこれまで皇室制度に関する質問には「私から言及することは控えたい」と答えるのが常だった。しかし今回は、一歩踏み込んだ対応を見せられた。国会での皇室典範改正議論に関連し、陛下は「制度については私から言及することは控えたいと思いますが」と前置きしながらも、「国民の理解が得られるものとなることを願っています」と述べられた。高森氏は「憲法上の制約がある中で、陛下がわざわざこのような異例のご発言をなさったのは、ぬぐえない不安や危惧がおありだったからだろう」と指摘する。
この発言は、衆参両院の正副議長が全政党・会派に呼びかけて続けてきた全体会議が6月10日に一つの区切りを迎えた翌日に行われた。議長らが用意した取りまとめ案には13党派のうち7党派しか賛成せず、異論が残った部分は玉虫色のまま曖昧に決着した。多くの国民が望む「女性天皇」というテーマはあらかじめ議題から除外されていた。
養子案への疑問と世論の動向
政府が検討する皇族数確保策の一つに、旧宮家の男系男子を養子として迎える案がある。しかし高森氏は、この養子案は過去に否定された経緯があると指摘する。世論調査では、養子案に反対する人が4割に上り、一方で女性皇族が結婚後も身分を保持することには7割が賛成している。主要4新聞も養子案に批判的な立場を取っている。
高森氏は「上皇陛下も養子案を拒絶されていた。また、陛下は女系を容認され、男系よりも国民と苦楽を共にすることを重視されている」と述べる。さらに、愛子さまのご覚悟にも触れ、「政府も認めたように養子案には前例がない」と強調する。
政府の対応と今後の展望
高森氏は、政府が陛下のおことばを黙殺し、高市首相が「ちゃぶ台返し」をしたと批判する。衆院議長らは「子どもの使い」のようだとし、「愛子天皇こそが皇室を救う」と結論づけている。
天皇陛下のご発言は、皇室の将来をめぐる議論に一石を投じた。国民の理解を得るための具体的な道筋が求められる中、今後の国会審議が注目される。



