生後6か月の赤ちゃんが、弟の弾くショパンのピアノ演奏を聴きながら頭をコクンと下げる姿を捉えた動画がInstagramに投稿され、73.7万件のいいねを集めた。投稿したのはピアニストの久保山菜摘さん(@natsumikuboyama)。温かい家族の風景に癒やされるという声が多く寄せられている。
お腹の中にいた頃から聴いていたピアノの音
弟がショパンを弾き始めると、息子さんは音楽を聴きながら弟のことを見つめ、弟も時々目を合わせていたという。目が合うと二人とも自然と笑顔になったそうだ。当時は生後6か月でまだ長い時間頭を支えられず、音楽に合わせるようにポトッと頭が下がった瞬間、久保山さんと弟は思わず笑ってしまったと振り返る。
「息子が顔を上げると『なんで二人とも笑っているの?』と言いたそうな不思議そうな表情をしていて、それもまた可愛かったです。私にはふわっとした笑顔を見せるのに対して、弟には少し違って無邪気で活発な笑顔を見せるように感じます」
弟は離乳食を食べさせたりするなど、家族の一員として息子さんとの時間を楽しんでいるという。
妊娠中も続けた演奏活動、息子との音楽との触れ合い
久保山さんは妊娠中もピアニストとして演奏活動を続け、3か国15都市でコンサートを行った。息子さんはお腹の中にいる頃から一番近くで演奏を聴いていたことになる。舞台で演奏を始めると、いつも静かに聴いてくれていたといい、「今日は息子も一緒にいる」と思うと安心でき、心強く感じていたと話す。
出産後は、練習や息子を連れて行けるリハーサルにはできるだけ一緒に行き、生の音を自然に聴ける環境を作っている。成長するにつれてピアノの鍵盤や指の動きをよく見るようになり、最近では「自分でも弾きたい」という気持ちが出てきたようだ。ピアノを弾き始めると必ず高速ハイハイでやってきて、自分でも鍵盤を弾くという。
妊娠中はピアノソロのほか弦楽器との共演も多かったため、ピアノと弦楽器の音は特に興味深そうに、気持ちよさそうに聴いているように感じるそうだ。よく弾いているショパンも、特に静かに聴いていることが多いという。
「子どもがいるから」と諦めなくていい、0歳から楽しめる本格的クラシックコンサート
久保山さんは「0歳から大人まで楽しめる本格的クラシックコンサート」を企画した。きっかけは、「子どもと一緒に行けるクラシックコンサートはなかなかない」という声を聞いたこと。子どもがいるからといって大人が好きなことを諦めなくてもいいのではないか、赤ちゃんだからと子ども向けの音楽だけではなく本格的なクラシックにも触れてほしいと思ったという。
赤ちゃんも集中しやすいように1曲ずつを短めにし、全体を約40分にしている。昨年の公演では、たくさんの人がいる環境に驚いて泣いてしまう赤ちゃんもいたが、皆さん趣旨を理解してくださっているので、他のお客様が気にかけてくださるなど優しい空気に包まれていたそうだ。「こんなコンサートをずっと待っていました」と声をかけられたことも印象に残っているという。
息子さんには、必ずピアニストや音楽家になってほしいと思って環境を作っているわけではないと久保山さんは話す。「私たち夫婦が好きなものを楽しんでいる姿を息子が近くで見て、一緒に楽しんでくれたらそれだけで十分嬉しいです」と語り、将来息子自身が「音楽をやってみたい」と言ってくれたらもちろん応援したいが、いろいろな経験をして好きなものを見つけていってほしいと願っている。
「私が教えているというよりは、息子を通して私自身がもう一度人生を楽しませてもらっていて、学ばせてもらうことばかりです。家族でいろいろな経験をしながら、楽しい時間を一緒に共有していけたらいいなと思っています」



