綾野剛、火傷の男・埜本の新ビジュアル公開「彼に出会えてよかった」
綾野剛、火傷の男・埜本の新ビジュアル公開

磯村勇斗とAぇ! groupの末澤誠也がW主演を務める映画『mentor』(10月16日公開)で、キーパーソン・埜本を演じる綾野剛の“新ビジュアル”が解禁された。吉田恵輔監督が描きたかった“メンター”の真実や、本人発案の外見から内面まで、埜本を生きる覚悟を決めた綾野の役作りも明らかになった。

15年前の火災がもたらした運命の再会

今作は、『ミッシング』『空白』などで知られる吉田恵輔監督が脚本・監督を務めるオリジナル作品。幼い頃の花火遊びが原因で発生した火災によって人生を大きく狂わせた龍之介(磯村)、拓海(末澤)、そして妻子を失い自身も全身に火傷を負った埜本(綾野)の15年後が舞台となる。過去に囚われたまま大人になった2人の青年と、その火災で大切なものを奪われ、彼らの運命を静かに、しかし確実に狂わせていく“メンター”との歪な再会を描く。

綾野が演じる埜本は、15年前のアパートの火事で妻子を失い、自身も大火傷を負い、怪我の後遺症を抱えながら生きてきた。ある日、火事を引き起こし、以来引きこもりがちな日々を送ってきたかつての少年・拓海と偶然の再会を果たす。恨んで当然の相手なのに、土下座して詫びる拓海を埜本は優しく包み込む。その後も、全力で自己肯定をしてくれる埜本に対して、次第に彼を心の拠り所、すなわち“メンター”として崇めていく拓海。一方、共に火事を起こした龍之介は、埜本と再会するも、不気味なほど寛容な態度に違和感を覚え、強い警戒心を抱かせていく。

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監督が描く“メンター”のエゴと人間の裏

タイトルである“メンター”とは、一般的に仕事や陣営において、見本となり助言や指導をしてくれる良き指導者や信頼できる相談相手を指す。今年50歳をむかえる吉田監督にも、「自分も誰かのメンターになるべき年齢になってきている」という思いがあったという。脚本を自ら書き下ろした監督は、「メンターについて調べていくうちに、結局は他人を導くことで自分が気持ちよくなっていないか、自分に酔いたいという承認欲求がそこには発生するんじゃないかと。胡散臭さを感じると同時に、そこを面白がる自分も出てきて。逆にメンター的な発言をしている人の恥部を見たい気持ちも湧いてきたんだよね」と語るように、希望や救いをもたらす存在に潜む人間のエゴを描く。

解禁されたビジュアルでは、雨粒が滴るガラス越しにたたずみ、どこか一点を見つめる埜本。愛情とも恨みともつかぬ感情がよぎる刹那が切り取られている。そこにあるのは、龍之介や拓海に見せる優しすぎる顔ではない。その眼差しは赦すことへの葛藤や、奪われた家族ともう戻らない日常への静かな復讐心を秘めているかのようだ。埜本のトレードマークである中日ドラゴンズキャップの色とも重なる青い光が不穏さと悲しみをより一層際立たせている。

特殊メイクと本人発案の髪型で役に没入

埜本というキャラクターを作り上げるにあたり、顔の火傷痕は、キャップを被った状態でも左耳の上から首元まで及び、綾野の顔を粘土で型取りしシリコンに落とし込んで作ったものを、5つのパーツに分けて貼り合わせ、特殊メイクによって生々しく再現された。加えて長袖の先から見える両手にも特殊メイクを施し、その姿で生きてきた埜本の15年を物語る。キャップの裾から白髪混じりのもじゃもじゃが覗く特徴的な髪型は、綾野本人の発案で生まれたという。

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綾野は「特殊メイク、ヘアメイク、演出部の各部署とともに徹底的に追求した結果、すばらしい造形が完成した」と振り返り、「彼の知られざる15年の軌跡を想像してもらえると思います」と自信をのぞかせる。さらに、外見の作り込みにとどまらず、綾野は「撮影中は、彼をどう救い、どう生きられるかだけを考えていました」と振り返る。埜本という役への愛着について問われると「彼に出会えてよかったです。彼の気持ちをたくさん想像できましたし、彼に対する私自身の答えも見えました」と役と向き合った日々を振り返り、「私にとって彼との時間は幸せでした。埜本さんに感謝しています」と語り、役に捧げた並々ならぬ情熱と愛情を明かした。