あの、初少年役で新境地「しらぬひ」で見せた声優魂とクリエイターとしての覚悟
あの、初少年役で新境地「しらぬひ」声優魂と覚悟

アーティスト・あのが主人公の声を務める短編アニメーション映画『しらぬひ』が8月21日に公開される。少年役に初挑戦し、予告公開後には「あのちゃんだと気づかなかった」と驚きの声が殺到。共演の花澤香菜も驚嘆するほどの新境地を見せている。あのは「人間は多面性がある」と語り、マルチに活躍しながらも太い自分軸を貫く。今作は「新たなターニングポイント」になったという。

初の少年役で直面した声のグラデーション

出演が決まった時の心境について、あのは「声の仕事の中でも少年役だったので、驚きと同時に『ついにそういうことを求めていただける時が来た』と思って、すごく光栄でした」と喜びを語った。初の少年役に挑むにあたり、何種類かの声を準備してアフレコに臨んだという。「自分の中でできそうなものを監督に聞いていただき、その中で年齢的にもベストだというのをすり合わせていきました」と振り返る。

声を作り上げていく過程では、「大人にならざるを得なかった少年というところで、10歳ながらキャピキャピしすぎていない声色と、べんちゃんといる時の湊は少し10歳に戻れているような子どもらしさ、そのグラデーションのつけた方が難しかった」と語った。「少年からはブレずに声のトーンを柔らかくしたり明るくしたりする際、監督から『あのちゃんになっちゃっている』と言われることもあって。ちょっとでも明るくすると自分の声になってしまうのは難しかった」と不安を吐露した。

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しかし予告動画が公開されるやいなや「あのちゃんだとは気づかなかった!」という声が多数寄せられ、「そんな風に言われるとは思っていませんでした」と驚く。「毎日声を聞いているファンの人や周りの知人からも、『あのちゃんだとは思わない』と言われました。ちゃんと湊になれていることでもあるのでうれしかったです」と述べた。声優の仕事はまだ2回目だが、寄せられる称賛の声に「毎回ありがたい声をいただくので、向いているのかなって、ちょっとだけ思い始めました」と笑顔を見せた。

三木眞一郎とのアフレコで魂が宿る 花澤香菜の言葉に自信

アフレコで苦労した点について、あのは「声色の使い分けと声を荒げるシーン難しかった」と挙げる。「声をからしてもダメだし、ただギャンギャン騒いでいるだけでもダメ。感情を入れるところは叫びだけじゃなく、他もですけど声が少年なだけじゃダメで、しっかり湊の気持ち、魂が宿っているようにするのは工夫して、考えながらやりました」と振り返った。

父・マサルを演じた三木眞一郎とのアフレコは印象に残り、「迫力のある声演技だったので、より気持ちも入りました。一緒にやれたことでできた芝居でもあったなって思います。ほどよい緊張感がある現場でした」と語った。また、共演したべんちゃん役の花澤香菜から「いっぱい声優やられているんですか?」という予期せぬ言葉を受けたといい、「まだ2回目ですと言ったら驚いてくれて褒めてくれたので、すごく心強かったです」と喜んだ。

「正解がないからこそ不安」 揺るがない自分軸

俳優としても活躍するあのは、評価への手応えについて「結果的に(いいと)言っていただけているので、みんなの声が手応えにつながっているのかな。ただ毎回、不安になりながらやっています」と話し、不安になる理由を「正解がないから」と語る。「正解がないので自分が納得していつも終わっていますが、それは自分の中の納得であり、自分の中の正解。世の中にどう伝わっていくか考えると不安な時もあります」と本音を明かした。

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音楽、俳優、声優とボーダレスな活躍を見せるスタンスについて、「軸は同じ」と前置きし、「人間は一面じゃなくて多面性があるので、それによってサイコロのようにコロコロ転がっているみたいな感覚はありますけど、軸はずっと“僕”という自分です。けっこう太めな気がします(笑)」と語った。

刺激を求め、臨機応変に挑むクリエイティブの流儀

仕事に対する線引きに関しては「あります」としつつ、「これは自分とは違うなとかはあります。でも一つの映像とか一つの作品にとって『これが必要』というのもわかります。そこは臨機応変にやれていけたら」と語る。さまざまなタイプの人と仕事をするなか、同じ方向性の人がやりやすいとしつつも、「そうじゃない人と関わることで生まれる新しいものもあるので、そういう人ともやってみたい」と刺激を求める一面も見せる。

異なる考えを持つ相手とのコラボについて、「例えば音楽だとアレンジャーの方がゴリゴリのラウド系だと、好きだけど手を出していなかった世界を広げてもらうなど刺激を受ける」と話し、「何か刺激的なものがあると、例え口論があったとしても、乗り越えて作ってみたい興味あります」と語った。

音楽への愛と本作で迎えた新たな転機

自身のキャリアにおける今作をあのは「新たなターニングポイント」と位置付ける。「会う人会う人に、『しらぬひ』すごい『声すごい』と、公開してないのにいろんな現場で言っていただけるので、大きな出来事。自分の中でまたより声で表現することも好きになったし、自分にとってはまた新たなターニングポイントになったかなって思いました」と語った。

すべての表現活動について、「全部全然違うけど表現としてはすごく似ているものでもある」といい、特に音楽に関しては「そんな得意じゃないんですけど(笑)」と謙遜しつつ、「好きです」と言い切る。「どんな壁があろうと理不尽があろうと好きっていうものが上回っていくものは音楽かなって思います」と述べ、「表現しないとなかなか夜を超えられないみたいになっちゃった時期があったので(音楽は)そばにいた感じがします」と、音楽が人生にとってかけがえのないものであることを示した。

最後に本作の見どころについて、「シリアスな展開のなかでも、湊とべんちゃんのシーンは安全な安心な場所なので、そこでホッとしてくれるといいなって思っています」と語った。