チャーハンを食べたことがない人は、おそらくほとんどいないだろう。好き嫌いを超え、もはや国民食と言える存在だ。しかし、チャーハンがいつ日本に入り、現在のように家庭で作られるようになったのかは、明らかではない。本書『チャーハンという迷宮 なぜ国民食になったのか』(石田かおる著、NHK出版新書)は、そうした「チャーハンの歴史」にアプローチする、国内初の本とされる。
横浜開港から学生街、そして家庭へ
物語は1859年の横浜開港、中華街の形成に始まる。日清戦争後には神田神保町に留学生向けの学生街ができ、「ガチ中華店」が続々とオープンした。大正時代に「主婦」概念が確立されると、残りご飯の活用法としてチャーハンは家庭に広まっていく。
戦争と戦後、そして「男の料理」へ
第二次世界大戦期には米が入手しづらくなった時期を挟み、戦後には油脂を多く使った高栄養食として全国に普及。グルメマンガ『美味しんぼ』の連載や人気テレビ番組『料理の鉄人』の放送を経て、徐々に「男の料理」としてのイメージが強まった。令和の現在では、チャーハンの脱マチズモ(男性優位からの脱却)が見られるという。
日本の近現代史を裏側から見る面白さ
本書は、日本の近現代史を裏から見るような面白さがある。読了後には、必ずチャーハンを食べたくなる一冊だ。価格は1210円。



