物語コーポレーション(焼肉きんぐ、丸源ラーメン)が手がける新うどんチェーン「源次郎」が注目を集めている。「4玉まで同一価格」を掲げ、客単価1000円でも採算が合うよう設計されたこの店舗モデルの背景には、特注の圧力釜や揚げたて天ぷら、フルサービスなど、緻密なオペレーションが存在する。
特注圧力釜でもっちり食感を30分維持
太めでもっちりとした食感が売りの麺は、特注の圧力釜を使うことで、茹で上がりから30分は品質が大きく変わらない仕様になっている。玉数を多く注文しても、もっちりとした食感が損なわれないよう工夫されている。
天ぷらは注文を受けてからの揚げたてにこだわり、揚げたてをスムーズに提供するオペレーションには、祖業である和食店「しゃぶとかに 源氏総本店」で培った知見が活かされている。
フルサービスと卓上の工夫
フルサービスのため、席への案内から注文、料理の提供はすべてスタッフが行う。各席には呼び出しボタンがあり、注文方法に迷うことはまずない。さらに、テーブルには鰹節・揚げ玉・調味料・お冷のピッチャーも完備。席を離れることなく落ち着いて食事ができるよう配慮されている。
「4玉」が最適解だった理由
源次郎が掲げた「4玉まで同一価格」。この物価高の中、思わず「え、本当にいいの?」と聞き返してしまうほどのインパクトがある。そもそも、お腹いっぱい食べてもらうことが目的なら「大盛り無料」と打ち出す方法もあったはずだ。なぜ、あえて「4玉」にこだわったのか。
率直に尋ねてみると、物語コーポレーションの廣瀬さんは笑いながら逆にこちらに問いかけてきた。「大盛り無料と4玉同一価格、どちらが印象に残ると思いますか?」。そう聞かれて筆者は思わず「4玉です!」と即答してしまった。確かに大盛り無料は珍しくないが、4玉と聞けば「気になる」と反応してしまう。廣瀬さんは、その引っ掛かりこそが大事だと言う。
「うどんのように日常的なマーケットでお客様に興味を持っていただくには、『こんなお店がほしかった』『今までにないよね』と思ってもらえることが大切なんです」
何玉まで同一価格にするかは、検討を重ねた。当初候補に挙がったのは3玉。しかし、3玉は「得得」など、すでに他のチェーン店でも打ち出されていた。一方4玉までを掲げる店はなく、強い訴求になると考えた。
ちなみに、5玉にする案もあったそうだ。だが、5玉にすると「2玉を選んだ人が損をしたように感じてしまうのではないか」という懸念があった。また、お得感から4玉、5玉と注文する客が大半になると採算が合わなくなる恐れもあり、上限を4玉に決めたという。
この絶妙な判断を支えたものはなんだったのか。次ページでは想定客単価1000円でも「お腹いっぱいになれる店」にするための戦略が語られる。



