実業家の本田直之氏(レバレッジコンサルティング代表取締役社長)は、役職定年、定年、独立後の踊り場といった、これまでの人生で増やしてきたものが一斉に手元から離れていく局面でつまずく人には共通点があると指摘する。その対策として、自身の経験を基に「足し算の生き方」の限界と「やめること」を選ぶことの重要性を説く。
「足し算の生き方」は限界が来る
本田氏は、ハワイの朝に二日酔いで体が動かず、後悔する経験を繰り返してきたという。適量で止めた朝は頭が軽く、トレーニング後の爽快感も違うとわかっていたが、変えられなかった。しかし、あるとき「この先、こういう無駄な午前中を過ごすのはもうやめよう」と決意した。
禁酒ではなく、飲み方を変えた。本当に美味しいものだけを適量だけ飲むようになり、好きなワインを一杯、日本酒を一合、焼酎をロックで一杯で十分だと思うようになった。我慢している感じはなく、満足度はむしろ上がった。出費は減っておらず、一杯あたりのコストは上がっているかもしれないが、翌朝の状態まで含めると満足度は明らかに上がったと述べる。
「とりあえずビール」をやめた
本田氏はこの感覚を「ノー・フォグ・ライフ」と呼び、頭に霧をかけない生き方と説明する。健康優等生になるわけでも禁欲するわけでもなく、「とりあえず飲む」ことをやめただけだという。
具体的に変えたことの一つが「とりあえずビール」だった。最初にビールを頼む理由は習慣や流れで、考えずに反射的に頼んでいた。ビールを飲むと食欲のスイッチが入り、次の一杯や揚げ物、炭水化物につながり、食べすぎ飲みすぎて翌朝頭が重くなる。そこで「とりビ」をやめ、今夜は本当にビールが飲みたいのか、ワインか日本酒か、あるいは飲まなくてもいいのかを自分で意識的に選ぶようになった。
飲む理由も飲まない理由も自分で持つことで、食と酒との関係は大きく変わった。こうした小さな選び直しが「自分は変われる」という感覚を取り戻してくれたと本田氏は語る。



