和で涼む ひんやり肌触りのカラフルな「花ござ」洋室にも気軽に
和で涼む ひんやり肌触りのカラフルな「花ござ」洋室にも

染めたイ草を様々な模様に織り上げたカラフルな敷物「花ござ」は、洋室にも気軽に取り入れられる。ひんやりとした肌触りと、イ草のさわやかな香りが涼を感じさせてくれる。

吸湿効果で夏を快適に

1850年(嘉永3年)に創業した福岡県筑後市の「山万(やままん)」は、畳表の卸売りや、熊本県八代地域産のイ草を使った花ござや寝ござの製造・販売を手がける。本社のショールームには、ランやキキョウなどの柄が入った花ござのラグや玄関マットが並んでいた。

社長の森田江里加さんは「部屋を華やかに彩ってくれる。湿気を吸い取ってくれるので、湿度の高い日本の夏を快適に過ごすことができます」と話す。

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花ござは、染料で染めたイ草と糸を編み込んで作る。色や形などのデザインを設計し、業者に依頼してデータを作成。それを専用の織機に読み込ませ、自動で織り上げていく。セットする糸の本数やイ草の長さは織り方や製品のサイズによって異なる。

最も重要な工程は、織り上がった後の仕上げ作業と品質のチェックだ。イ草は天然素材のため、途中で切れたり、違う色が混じったりすることがあり、一本一本目で確認しながら千枚通しで抜き取るなどして補修する。担当する同社インテリア部長の山田繁樹さんは「1本でも色の違うイ草が入っていたら傷のように見えてしまう。お客さんに納得してもらえる商品に仕上げるため神経を使います」と話す。

イ草農家を応援

福岡県南部の筑後地域ではかつてイ草の栽培と畳表や花ござの生産が盛んだった。同県い製品商工業協同組合の福岡花ござ部会によると、ピークだった1975年前後のイ草農家数は約6000戸に上り、約2000戸で畳表や花ござを作っていたという。製品は約100社の産地問屋を通じて全国に出荷された。

しかし、その後、安い中国産の流入や生活様式の変化、樹脂製の畳の普及などでイ草農家は激減。同地域では現在、イ草はほとんど作られなくなり、花ござなどの生産者も約40まで減った。

日本人の畳離れが進む中、危機感を抱いた同社はイ草の魅力を多くの人に知ってもらおうと、新たな商品開発に力を入れている。女性社員らが「廃棄されるイ草がもったいない」と、これまで捨てていた、畳表を作る際に出る端材に着目。湿気を調整したり、臭いを吸い取ったりするイ草の特性を生かし、端材を再利用した靴の消臭剤やベビーカーシートなどを2022年に発売した。

また、福岡県い製品商工業協同組合は、国産のイ草を使い、県内で織られた花ござのブランド化を目指し、23年に「福岡花ござ」を商標登録した。

産地の生き残りをかけた模索が続く中、7月に発生した熊本地震では、八代地域の多くのイ草農家が被災した。作業小屋の倒壊や農業用水路の破損などの被害が出ているという。「山万」の森田さんは「イ草製品の販売を通じて少しでも農家を応援できれば。これからも新たなことに挑戦し、畳やイ草の文化を次の世代に残していきたい」と話している。

生活臭を吸着、リラックス効果も

イ草や畳の機能性に詳しい北九州市立大国際環境工学部教授の森田洋さんによると、イ草は断面がスポンジ構造になっているのが特徴で、湿気を吸い取って湿度を調整したり、シックハウス症候群の原因物質や生活臭を吸着、消臭したりする機能がある。バニラの香りの成分が含まれているため、リラックス効果も期待できるという。

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森田さんが一番に薦めるのが寝ござ。布団の上に寝ござを敷くと、湿気を吸収してくれて寝苦しさが軽減されるという。「日本の夏は高温多湿なので、部屋の湿度を下げることがとても大事だ。夏場こそ、花ござや寝ござなどのイ草製品を使ってほしい」と話す。