浪人経験が小説に直結、57歳で29年間の執念実らせデビュー
浪人経験が小説に直結、57歳で29年かけデビュー

57歳の宮本さんが、29年間もの長きにわたる挑戦の末、ついに処女作『カラスに似た足指』を2026年6月に刊行した。その原動力となったのは、浪人時代に培った「一人で自分と向き合う」経験だったという。

編集者との出会いが転機に

宮本さんは28歳から小説を書き始め、新人賞に21回落選。50歳を過ぎて「このままでは何も形にできない」と焦りを感じていたところ、編集者の石山氏と出会う。石山氏は宮本さんの原稿に細かく赤字を入れ、手紙とともに返送。そのやりとりを2~3年、5回ほど繰り返した後、ようやく「もう自信を持っていい」と認められた。

「50をすぎたらさすがに何か形にしないと、今までこだわっていたものが全部なかったことになると思っていました。それまでは文化的な消費しかしていなかったので、作る側に行かないと潰れるという恐怖がありました。そこに石山さんが現れていろいろ助けてくださいました」と宮本さんは振り返る。

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浪人時代のリアルが作品に

宮本さんは、浪人時代の経験が小説の核心に直結していると語る。「浪人の時に、みんななんとなく仲良くやっているけどそんなに仲良くないよなという気持ち悪さを感じていました。今回の作品は、馴れ合いの仲良しこよしじゃない、ザラザラした人間関係を書きたいと思って書いたのですが、その感触をはっきり掴んだのが浪人時代でした。絶対に理解し合えない人間関係や、断絶や永遠の別れといったハードな関係性を書いていますが、あの感触がなければ書けなかったかもしれません」

孤独な自己対話が生んだ持続力

「一人で自分と向き合わないと、勉強はできるようにならないのは小説も同じ」と宮本さん。浪人時代に始まった孤独な自己対話は、その後も途切れることなく続き、29年間の執筆活動を支えた。57歳にしてデビューを果たした宮本さんは、「やりたいことがあれば続ければいい」という教訓を静かに体現している。

なお、宮本さんは45歳で結婚。現在も執筆活動を続けており、今後の作品にも期待が寄せられている。

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