「さて、俺はそろそろ失礼しますがね……」
「お引き留めして申し訳ありませんでした」
「帰る前に、一つ聞いておきたいんですが……」
「何でしょう?」
「なんで、うちの店のことに首を突っこんでるんです?」
「あ、昇さんからは何もお聞きじゃないですか?」
「ちゃんとした話は聞いてないですね」
「私ら、相談を受けましてね。昇さんは、お店のてこ入れを考えておられるようで……」
「てこ入れ?」
「はい。ですから、私らはコンサルタントみたいなもので……」
コンサルタント……。日村は心の中でその言葉を繰り返していた。
伊達が明かす来訪の理由
「やっぱり、昇か……」伊達はつぶやくように言った。「あいつは頭でっかちでしてねえ……」
「ほう。頭でっかち……」
「そして、オヤジは頑固ときている……」
阿岐本は何も言わず、伊達の次の言葉を待っている。
苦労を語る伊達
やがて、伊達は言った。
「あの二人の間に入ると、苦労しますよ」
阿岐本が言った。
「それは、もしかして伊達さんご自身のお話でしょうか?」
伊達はただ肩をすくめて立ち上がった。
「失礼しますよ。お茶をごちそうさま」



