「ダーウィンが来た!」20年、ピューマ狩りやゴリラ撮影の苦労語る
「ダーウィンが来た!」20年、ピューマ狩りやゴリラ撮影の苦労

NHKの自然番組「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」が2026年春で放送開始20年を迎えた。6月には制作チームが日本動物学会の動物学教育賞を受賞。公共放送の大看板となった番組の舞台裏を、チーフプロデューサーの渡辺一教さんとカメラマンの小迫裕之さんが語った。

家族で楽しめる番組へ

「ダーウィンが来た!」は2006年4月、日曜夜7時30分からの30分枠でスタート。それまでの自然番組は平日夜8時からの45分枠で、自然や科学好き向けだった。渡辺さんは「子どもたちにも見てもらい、家族で楽しめる番組にしようと生まれた」と説明する。初回放送では、アマゾン川で水面から1メートル跳び上がるアロワナを、開発途中のハイビジョンハイスピードカメラで撮影。小迫さんは「撮影ボタンを押す前の場面もため撮りできる画期的な機能で、ジャンプ後の撮影ボタンでも記録できた」と振り返る。

ゴリラ撮影の試行錯誤

アフリカ・ガボンの密林で撮影されたゴリラ(2011年11月放送)は大変だった。渡辺さんは「人間の目は3Dで見るが、カメラでは2Dになり、葉っぱが茂っているようにしか見えない」と苦労を語る。結局、試行錯誤の末にゴリラの姿をとらえた。

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フラミンゴ撮影の過酷さ

2020年9月放送「天空のフラミンゴ 謎の赤い湖に集結」では、ボリビアの標高4000メートル超の高地で撮影。小迫さんは高山病に襲われ「心拍数が上がり、すぐに低地に下りた」という。湖は水深が浅く泥で埋まり、ボートが出せないため、泥の中を歩いて撮影ポイントへ。早朝に塩が凍っているうちに出発するが、撮影に夢中で塩が溶け、膝まで埋まることも。酸素が薄く体力を消耗した。

ピューマ狩りは最終日

南米パタゴニアでのピューマの狩り(2021年11月放送)は、車が入れない場所で広範囲を歩いて追跡。小迫さんは「ピューマは毎日見つかるが、いつ狩りをするか分からない。結局、撮れたのはロケ最終日だった」と苦笑する。

感動を伝える使命

小迫さんは「放送を見た視聴者から『あのシーンは良かった』と言われる方がうれしい」と語る。「役得だからこそ映像で伝える使命感がある。自分の感動を映像に作り直すのが難しい」とし、機材を工夫して納得のいく映像を追求する。渡辺さんも「現場で受けた感動をどう伝えるかこだわっている」と強調。大自然の中で撮影を続けると「人間はちっぽけで、自然の一部だと感じる。人間も動物の一種類にすぎない。それぞれの生きものに世界があることを感じてほしい」と語る。

動物学教育賞と特別展

制作チームは2026年度の動物学教育賞にテレビ番組として初めて選ばれ、動物学の普及と教育への貢献が評価された。放送20年を記念し、7月11日から10月12日まで東京・上野の国立科学博物館で特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」を開催。また、7月19日午前10時35分から総合テレビの広報番組「どーも、NHK」で番組の魅力を紹介する。

来年1000回へ抱負

来年は放送1000回を迎える。小迫さんはバーチャルリアリティ技術を駆使したコンテンツの可能性に期待。渡辺さんは「常に新しい演出、機材で可能性を探りたい」とし、目を輝かせて「私が一番興味があるのは深海と地中。特に地中、土の中はすぐそこなのに自然な状態を撮るのが難しい。どうしても挑戦したい」と語る。熱い職人魂を持ったスタッフに支えられた番組なら、いつか実現するだろう。

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