川端康成文学賞、イオンワンパーセントクラブが運営支援へ 画期的な企業メセナ
川端康成文学賞、イオンワンパーセントクラブが支援へ

現代文学の優れた短編小説に贈られる川端康成文学賞が、新たな支援を得て安定的な運営への道を歩み始めた。社会貢献活動を展開するイオンワンパーセントクラブ(渡辺広之理事長)は今年度、賞の運営主体である川端康成記念会(川端あかり代表理事)への支援を開始した。近年の厳しい経済状況下で企業による文化・芸術支援(メセナ)が縮小される傾向にある中、今回の取り組みは画期的な事例として注目を集めている。

イオンワンパーセントクラブとは

イオンワンパーセントクラブは1990年に設立された。流通大手イオングループの税引き前利益の1%相当額を原資に、青少年の健全育成や国際友好親善を目的とした事業を展開している。具体的には「中学生作文コンクール」や、国内外の高校生が交流する「ティーンエイジ アンバサダー」などを実施。地域社会や文化貢献としては、伝統文化・工芸技術の保存継承に取り組む団体への助成や、「セイジ・オザワ松本フェスティバル」などの音楽祭支援も行ってきたが、文学分野への支援は今回が初めてとなる。

渡辺理事長のコメント

渡辺理事長は「日本で初めてノーベル文学賞を受賞した川端先生の記念会とご縁をいただき、非常に名誉なことだと思う」と語った。さらに「川端先生は三島由紀夫先生をはじめとする若手文学者の育成に尽力された。川端康成文学賞が行っている日本文学の人材発掘・顕彰の取り組みに強く賛同する。また、鎌倉の旧川端康成邸庭園の公開は、鎌倉の芸術文化や日本文学を世界に発信する意義深い活動であり、ぜひ支援したいと考えた」と支援の理由を説明した。

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賞の歴史と再開の経緯

川端康成文学賞はノーベル文学賞受賞作家・川端康成の名を冠し、長い歴史を持つ。しかし財政難などを理由に2019年に一時休止。その後、新潮社の協力を得て2021年から再開された。今年の受賞作は古川真人さんの「近づくと遠ざかる船」(「文学界」昨年9月号)が選ばれた。

将来の展望

渡辺理事長は将来に向け、「記念会とのつながりをさらに深め、作文コンクールやティーンエイジ アンバサダーなどでも連携していきたい。コンクールの受賞者から、10年、20年後に川端康成文学賞を受賞するような子どもが出てくれればうれしい」と期待を語った。川端康成記念会は文学賞運営のほか、鎌倉市の旧川端康成邸庭園の公開なども行っており、今回の支援は文化振興の新たなモデルケースとなる可能性がある。

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