住友商事は、タイの消費財大手サハグループ(Saha Group)とアニメ「クレヨンしんちゃん」の知的財産(IP)ビジネスで協業する。サハが持つ流通・小売網を活用し、タイ市場でのキャラクター価値向上を目指す。両社は2026年6月27日に覚書を締結した。
背景と提携の経緯
住友商事は2026年3月、クレヨンしんちゃんを展開する双葉社と、同社の海外IPビジネスを支援する業務提携を結んでいる。今回のサハとの協業は、その一環としてタイの現地企業と連携し、グッズ販売などに乗り出すものだ。サハはタイ有数の財閥で、食品や日用品の製造・販売を手がけ、ワコールやライオンと合弁会社を運営するなど日系企業との関係が深い。
両社トップの期待
バンコクでの覚書締結式で、住友商事の長沢修一メディアSBU長は「タイでは日本のアニメが長年にわたり親しまれており、東南アジアでのIPビジネス拡大のハブとして大きな可能性を有している」と述べた。サハの中核会社EDTHのウォラヨ・トンタン社長は「世界中の消費者を魅了する日本のコンテンツの強みと住友商事の知見を組み合わせることで、新たなサービスや体験価値が生まれると確信している」と期待を示した。
具体的な事業内容
具体的な事業は今後検討するが、クレヨンしんちゃんのキャラクターグッズ専門店や体験型施設の運営などが想定される。タイでは双葉社がライセンスを与えた企業を通じてグッズが販売されており、認知度は高い。しかし、在庫を抱えた業者が値引き販売し、ブランド価値を毀損するケースが懸念されている。
住友商事の戦略
住友商事は海外ライセンスエージェントとして、IP保有者と海外流通・小売業者をつなぎ、商品販路を開拓していく。双葉社との提携を第一歩に、今後5~10年でソニーグループのアニプレックス、東映アニメーション、東宝などのトップグループに伍する事業規模を目指す。
長沢氏インタビュー
住友商事の長沢氏は、同社の強みについて「通信の自由化を背景に1985年からメディア事業に参入し、映画やソフト製作などのコンテンツビジネスを40年近く展開してきた。近年は海外向けアニメ配信のREMOWに出資するなど、グローバル展開へ舵を切っている」と語る。海外展開の勝機については「アニメ視聴は広がっているが、商品化市場はまだ十分開拓されていない。特に衣食住が充実した東南アジアや中南米などの新興国では、エンターテインメント消費が伸びると考えている」と述べた。映像配信から商品化へのつなぎ方については「まず多くの人が映像を見られる環境が必要。REMOWは80のプラットフォームと直接取引するパイプを持つ」と説明。グッズ販売以外の事業として「期間限定のポップアップストアやコラボカフェ、LBE(ロケーション・ベースド・エンターテインメント)と呼ばれるテーマパークなど」を挙げ、IPビジネスの目標として「現地の有力パートナーと組み、マーケット・インの視点を重視。バリューチェーン全体に投資する『仕組み化』を重視している」と語った。



