長野県の北八ケ岳にある白駒の池は、標高2115メートルに位置し、コメツガやシラビソなどの針葉樹林に囲まれた国内最大級の天然湖だ。街明かりの影響を受けにくく、屈指の星空観察スポットとして知られている。
満天の星空と天の川
新月前夜の7月13日、午後10時を過ぎると空を覆っていた雲が消え始め、カメラには天の川がくっきりと浮かび上がった。湖畔に建つ山小屋「白駒荘」の専務で星空ガイドの辰野守茂さん(56)は「凪になると、波のない水面に星が映り込んで天然のプラネタリウムのようになる。空が広く、流れ星も高確率で見ることができる」と話す。
519種の苔が生い茂る「癒やしの森」
池の周辺には、ムツデチョウチンゴケやイワダレゴケなど519種の苔が自生し、「癒やしの森」として人気だ。約4億6000万年前、苔の祖先は藻類から進化して陸に進出し、光合成で酸素を増やし、土壌を育んできた。国内約1800種のうち、八ケ岳には519種が確認されている。
湖畔の山小屋「青苔荘」の3代目主人で日本蘚苔類学会会員の山浦雄大さん(35)は「今、人間が陸地で生活できるのも苔のおかげ。かわいいという人もいるが、自分の中では尊敬する存在だ」と語る。自らイベントを企画し、「北八ケ岳苔の会」で観察会を開いている。
自然と共生する取り組み
青苔荘の先代、山浦清さん(72)は約30年前から木道を整備し、苔や木の根を傷つけずに散策できるようにした。「自然にダメージを与えないよう、いかに負荷を抑えるか。自然と共生して守るのは、自然界に入っていった人間の責任だよね」と話す。



