2024年のNHK新人落語大賞で準優勝した実力派の若手落語家、福岡県粕屋町出身の昔昔亭昇(せきせきていのぼる)さん(36)が、東京を中心に活動する合間を縫って帰郷し、小中学生対象の落語教室を主宰している。この夏休みに第2期が開講し、オリジナルの亭号「かすや亭」に町内の小学5年~中学2年の男子4人が“入門”。来年1月の発表会に向けた稽古が始まった。
落語に魅了され、16年に入門
昇さんは会社員の頃、「営業トークの参考に」と入った寄席で、脱力系のダジャレとギャグ満載の新作落語で「寄席の爆笑王」の異名を取った昔昔亭桃太郎さん(2025年12月死去)に「どはまり」し、16年に入門。20年に二ツ目に昇進し、定席や全国の落語会、BS日テレ「笑点特大号」への出演のほか、ハワイアンバンドでギターを担当するなど、幅広く活躍している。
故郷での教室、第2期は4人が入門
「古里の子どもたちに落語の魅力を伝えたい」と、郷里での落語教室を24年秋に1回完結で初開催。翌25年から1年単位の連続講座とし、小学生2人が古典落語の「寿限無」「饅頭こわい」をそれぞれ稽古して、昇さんの落語会で前座として高座に上がり発表した。
第2期には、落語家を題材にした人気漫画「あかね噺」の影響もあり、4人が入門した。初回は7月下旬に町立生涯学習センターで開かれ、昇さんはまず「饅頭こわい」を実演。その後、子どもたちそれぞれに高座に正座して自己紹介をしてもらった。
昇さんが促すのは「元気に声を出そう」だけ。後は好きな食べ物などを子どもたちに尋ね、その答えに多彩な視点を投げかけて、話を膨らませていく。生の落語で笑い、やり取りを通じてまた笑う子どもたちに、見学した保護者たちもずっと笑みをたたえていた。
師の教えを胸に、発表会へ
昇さんが教室運営に込める思い。そこには世代などを超えて誰もが楽しめる芸能を追求した師・桃太郎さんの教えが息づく。「広い世界を笑わせる大衆芸能としての落語を大事にしていきたい」と昇さんは話す。
2年連続で受講する大川小6年の児童(11)は「同じ噺でも演じる度にちょっとずつ変わり、面白くなる」ことに魅力を感じている。好きなゲーム名から「かすや亭クラフト」を名乗り、今期は「ぞろぞろ」に挑戦する。母(45)は「人前で話す体験を通じて度胸がついてきた」と見守る。
受講料は1人1回500円で、会場使用料などに充てている。昇さんは子どもたちに演目の音源を送付。今後、対面やオンラインで落語の解説を交えた指導を行い、来年1月下旬に町内での発表会開催を予定している。



