福井県立恐竜博物館で人気の「化石研究体験」は、小学生以上を対象に、ティラノサウルスの頭骨の復元や化石のクリーニング作業などを実際に体験できるプログラムだ。同館副館長の寺田和雄氏は、その魅力について「研究員のレベルと熱量がすごい」と語る。
研究員の仕事を体験する本格的なプログラム
化石研究体験は、研究員が「化石を発掘した後にどのようなことを行うか」を体験してもらうプログラムだ。研究員がどのようなコンセプトで研究を日々進めているのかを理解してもらうことを目的としている。
体験の中には「T.rex(ティラノサウルス)頭骨復元」というプログラムがある。参加者全員で骨を組み立てていくもので、コンピューターの指示に沿って骨片を選び、パズルのように当てはめていく。センサーが付いており、正解かどうかがすぐ分かる仕組みだが、なかなかうまくはいかない。あごの骨をはめ込もうとしても、正確に順番通りに置いていかない限り入らない。うまくいくと「ピン」とOKのマークが出る。制限時間内に全て終わらなければ完成しない。
ただ、単なる遊びではない。一つ一つの骨をはめる際に、スタッフが「この骨はこういう役目があります」といった説明をする。ティラノサウルスの目の位置や、その前に立つと目が合うといった解説も交えながら、勉強を含めて「リアル」で「研究員が行う本物の研究とは何か」を追求した体験室なのだという。
大人が夢中になる理由とCTを使った最新研究
参加者は子供が中心かとの問いに、寺田氏は「いやいや、子供じゃなくて大人がハマるんです」と笑いながら答えた。「むしろ大人の方が多いかもしれません」という。
化石研究体験では、頭骨復元のほかに、掘った石から化石を取り出す「化石クリーニング」や、電子機器を使って化石の内部を調べる「CT化石観察」などがある。現在の化石研究は全てCT(コンピューター断層撮影)を使って行う時代になっている。石の中にどのように化石が入っているかをCTで調べるのだ。
例えば恐竜の脳を調べたいとき、脳が入っていた場所には骨がある。その骨のCT画像を見ることで、「神経はどれだけ太いか」や「鼻がよかった、目がよかった」などが分かるという。ティラノサウルスは嗅覚にすぐれていたことが分かっているが、それは神経の跡が太いからだ。こうしたことも全てCTでないと研究できないため、「CTで観察しましょう」という体験プログラムが作られた。体験は約2時間かかる。
令和5年のリニューアルで始まったプログラム
化石研究体験プログラムは創設当時からあったわけではない。令和5年にリニューアルして新館ができたときから始まった。人気が高い化石発掘体験は雪が積もる時期にはできないため、「この時期にもできる体験プログラム」を考えたという。
この際には研究員全員がアイデアを練り、侃々諤々の議論をした。通常の研究や博物館の仕事をこなしながら、「もう休みが取れないよ」とぼやきつつも、寺田氏は「うちの研究員はレベルだけじゃなくて熱量もすごい」と称賛した。



