第78回正倉院展、宝物60件公開へ 虹龍や伎楽面など国際交流の歴史示す
第78回正倉院展、宝物60件公開 虹龍や伎楽面など

奈良市の奈良国立博物館は14日、第78回正倉院展(10月24日~11月9日、特別協力・読売新聞社)の概要を発表した。当時の最高級調度品や豊かな国際性を示す工芸品など、多様な宝物60件(初出展11件)が並ぶ。大陸からもたらされた舶来品などの至宝を通じて、多様な文化交流の歴史を知ることができる。

伎楽面や金銅幡など多彩な宝物

奈良博で行われた記者会見では、三本周作主任研究員が主な出展宝物を説明し、「当時の人々がものづくりにかけた思いを感じてもらえる」と力を込めた。朝鮮半島から伝えられた仮面劇「伎楽」で使われた「伎楽面 酔胡王」は、西アジアの王をかたどっている。大きな目に高い鼻が特徴的で、「誇張されたユーモラスな見た目が、面に独特の魅力を与えている」と評価した。また、多様な文様が施された金銅製の旗「金銅幡」は、風を受けると装飾の鈴が鳴り、儀式の場などで荘厳な雰囲気を演出したと考えられる。

注目の虹龍はニホンテンのミイラ

中でも異彩を放つのが、動物のミイラ「虹龍」だ。1429年に室町幕府の6代将軍・足利義教が「竜日干」を見たという記録があり、この虹龍だった可能性が高い。2021~23年に行われた調査の結果、ニホンテンのミイラと判明。三本主任研究員は「どういう経緯で入ったのかは一切不明。正倉院の奥深さを感じさせる」と述べた。宮内庁正倉院事務所の飯田剛彦所長は「漆工芸の技法である『平脱』などが用いられた優品がたくさん出展される。多くの人にご覧いただければ」と話していた。

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曝布彩絵半臂の文様再現模造を制作

宮内庁正倉院事務所は14日、2021年の正倉院展に出展された宝物で、丈の短い衣服「曝布彩絵半臂」に描かれた文様の再現模造を制作したと発表した。宝物全体を復元する従来の模造とは異なり、図柄や彩色に着目して復元した新たな試みという。曝布彩絵半臂は、奈良時代に東大寺の法要などで楽人が用いたと考えられる上着。上質な麻布を用い、前面と背面に鳥や獅子、宝相華の文様があしらわれている。正倉院に伝わる約30件の半臂で唯一、麻布に直接絵が描かれた珍しい品だが、布の損傷が激しく彩色の大半が剥落。宝物の要である文様に特化し、2年かけて再現した。

顕微鏡での観察や赤外線、蛍光撮影を用いて文様の線を写し取り、わずかに残る色料の跡から配色を分析。CGデータ化して色の組み合わせの微調整を重ね、岩絵の具などを使って極彩色の文様を和紙に模写した。さらに、獅子の文様は、元の宝物に近い密度で仕立てた麻布に、宝物同様直接絵を描いて再現した。今後は展覧会などでの公開を検討する。同事務所の吉田卓爾保存課調査室員は「想像以上に華やかで美しい文様を知ってもらいたい」と語った。

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