俳優の宇野祥平さん(48)が主演するサスペンスコメディー「Man」が9月11日に全国公開される。宇野さん扮する正体不明の男と、犯罪に手を染める青年の奇妙な共同生活を描いた本作で、中年男性の悲哀や不気味さを、唯一無二の存在感で見せている。
役作りは現場で生まれるものを大切に
近年の邦画で活躍を見せる宇野さん。2020年には「キネマ旬報」ベスト・テン助演男優賞を受賞するなど、話題作への出演が相次ぎ、スクリーンやテレビに欠かせない存在となっている。作品ごとにさまざまな人物像を演じてきたが、本作では格好良さ、優しさ、狂気といったいくつもの側面を併せ持つ「謎の男」を生み出した。
インタビューでは穏やかに、朴訥と話をしてくれた宇野さん。「役作りは、自分で作ったというより、衣装やメーク、小道具を含めた、現場に行ってからわかるものをヒントにもらいながら、皆さんと一緒に作ってもらったものです」と明かす。
物語のなかでは、萩原護さん(23)演じる無軌道な若者を「真っ当な男」にするため、執拗に世話を焼く。数々のシーンで観る人を引き込む軽妙かつ緊迫感あるやりとりを見せる。
「事前にここはこうしようとか会話をせず、本読みやリハーサルもしていない。少人数での撮影だったので、その日のその場で生まれるものを大事にしたいと思ってやっていました」と撮影を振り返る。
監督との出会いが生んだ信頼関係
本作の前田弘二監督とは四半世紀前に出会い、以後、自主制作映画からテレビドラマまで24本もの作品でタッグを組んできた。この間に、仕事を超えた物作りでの信頼関係が築かれたという。本作への思い入れもひとしおだ。
「この作品は、出会いの映画だと思っています。人の出会いが描かれている。監督と出会ったことも思い出したし、いろんな人と出会ったり、影響を受けたりして今の自分があることも反映されている。好きな場面はたくさんありますが、ラストシーンが気に入っています。見ていただいた皆様にも、自分自身の出会いを思い出してもらえたらうれしいですね」と語る。
古今東西の映画から受けた影響
ほかに趣味はないというほど、古今東西の映画やドラマを観るのが好きだという宇野さん。映画の話になると、一段と饒舌になる。「劇場になかなか行けないときはやっぱり観たいと常に思ってます。新作を観たいと思いつつ、シネマヴェーラや文芸座で古い映画を見ることも多いです。映画から、ものすごく影響を受けていますね」と目を輝かせる。
おすすめの作品には、「オレゴン大森林 わが緑の大地」(1971年、米、ヘンリー・フォンダ主演)を挙げた。「影響を受けた役者さんは言い出したら切りが無いほど。森繁久彌さん、渥美清さん、勝新太郎さん、原節子さん…男女問わずたくさんいる。本当にただの映画ファンです」と話している。



