台湾南西部の小さなお寺に、かつて零戦で米軍と戦い、亡くなった日本兵が「神」としてまつられている――。そんな台湾の「日本神」の謎に迫るドキュメンタリー映画「軍服を着た神様」が、8月から順次、全国で公開されている。監督は、岩手三陸が舞台の記録映画「廻り神楽」などを制作してきた遠藤協さん。文化人類学者の藤野陽平さんと台湾各地を巡った。
「親日」の象徴として語られる日本神
作中では、海に捨てても戻ってくる卒塔婆、オレンジ色のコウモリ、火葬場跡に寝泊まりする男性、「日本神」を身に宿すシャーマンといった不可思議な出来事の連なりを追うなかで、「日本神」は、かつてそこで生きた日本人だったことがわかる。そして、いまを生きる人々との交わりや、日本が台湾に残した戦争の痕跡も浮かび上がる。
台湾各地でまつられる軍服姿の「日本神」は、「親日」の象徴として語られがちだ。しかし、徹底した現地調査から見えてきたのは、異なる実態だった。藤野さんは、「私たちが感じた魅惑的で摩訶不思議な感覚に皆さんも引き寄せられ、よりディープな日台交流のきっかけになれば」とコメントした。
台湾の民間信仰と死者の受け入れ方
遠藤監督は、台湾での「不可思議」な体験や、撮影取材を通じて、日本と台湾の「戦後」との向き合い方を考えたという。台湾には、かつて生きていた人を神としてまつる民間信仰がある。非業の死を遂げたり、適切に供養されていなかったりする死者の霊魂が、生きた人間にたたることがある。たたりを鎮めるために供養するうち、ご利益が出て神になる。日本のお地蔵さんのように身近な神様として存在する。
取材した「日本神」の多くは、台湾が日本の統治下にあったころの軍人や、その家族とされる人物だった。当然、台湾人の神様もいるし、オランダ人やフランス人をまつる廟やほこらも存在する。信仰は台湾的な死者の受け入れ方であり、異邦人であっても同じように扱うのは、台湾人の懐の深さとも言えるだろう。
記事の後半では、6年にわたる取材から見えた「日本神をまつる意味」について語られる。作中にも登場する飛虎(ひこ)にまつわるエピソードなど、詳細は有料記事で公開されている。



