奈良国立博物館(奈良市)で10月24日に開幕する「第78回正倉院展」では、シルクロードの交流を通じた国際色豊かな宝物が出展される。造形に異国情緒あふれる逸品が集い、当時の美意識と技術を堪能できる。
聖武天皇ゆかりの碁石とペルシャガラス
「紅牙撥鏤碁子(こうげばちるのきし)」と「紺牙撥鏤碁子(こんげばちるのきし)」は、聖武天皇の遺愛品として伝えられてきた碁石。紅色と紺色に染めた象牙の表面を彫り、白い地で文様を表す「撥鏤」の技法で、花をくわえた鳥を繊細に描いている。韓国・慶州にある新羅の王宮の苑池跡「月池(ウォルチ)」で出土した調度品にも同様の意匠が見られ、7~8世紀の東アジアで共有された文様だったことがわかる。
淡い緑色が爽やかなガラス製の水差し「白瑠璃瓶(はくるりのへい)」は、重心が低く、長い首の曲線が美しい。ペルシャの特徴的なデザインで、イランやイラクの周辺で作られたと推測されている。取っ手が右手で持ちやすいよう、下に向かうにつれて斜めに傾いているなど、機能性も備えている。
東大寺大仏開眼会で使われた献物箱も
「密陀彩絵箱(みつださいえのはこ)」は、752年に行われた東大寺の大仏開眼会の際、お香を献じるために使われた献物箱。黒漆塗りの地に描かれる鳳凰や、頭と胴が魚の姿をした怪鳥、唐草文などの文様は、古代に朝鮮半島で栄えた高句麗の古墳壁画など、7世紀の美術作品に通じる古風な様式だという。
館長「平和の大切さ感じて」
井上洋一館長は「宝物は多様な文化交流の証し。世界で紛争が絶えない今、平和だったからこそ守り伝えられてきた歴史や、未来へ継承することの大切さを感じてほしい」と話した。



