吉本新喜劇で長年活動してきた大塚澪さんが、自身の経験をもとに「怒られた後、どう立ち上がるか」を綴った一冊『ゾンビメンタル どんなにヘコんでもすぐに復活する人の思考法』(東洋経済新報社、1760円)が刊行された。俳優のサヘル・ローズさんが書評を寄せている。
怒られない技術ではなく、失敗との向き合い方
本書は「怒られないための技術」を教える本でも、「失敗をしない方法」を教える本でもない。むしろ、人は失敗するという前提で、その失敗や注意されたときにどう向き合うかをテーマにしている。
印象的だったのは、すべての怒りを背負う必要はないという視点だ。相手の機嫌や八つ当たりから生まれた怒りと、自分の成長につながる言葉を分けて考える。感情的に反論する前に少し立ち止まり、その経験を次へ進むための糧に変えていくことの大切さが説かれている。
「怒らない社会」より「対話を諦めない社会」
サヘル・ローズさんは、現代社会が「怒ること」を難しくしていることに複雑な気持ちを抱くという。人は他者との関わりの中でこそ成長できるとし、時には耳の痛い言葉によって自分の未熟さや思い込みに気づくこともあると指摘する。
自身の祖国イランでは、家族や友人同士が感情をストレートに表現し、激しく言い合うことはよくあるが、その日のうちに同じ食卓を囲み、紅茶を飲みながら笑い合うことも多いという。「怒る」ことと関係を「断つ」ことが必ずしも結びついていないと述べている。
一方、日本には相手を思いやる文化があるが、本音を飲み込み続けることで伝えるべき言葉まで失われることもあるとし、「本当に必要なのは、『怒らない社会』ではなく、『対話を諦めない社会』なのではないでしょうか」と問いかけている。
ゾンビのように何度でも立ち上がる
怒ることも怒られることも、本来は人と人との関係の中で生まれる。大切なのは、その言葉の奥にある思いや願いを受け止めようとする姿勢。そして、もし傷ついたとしても、自分自身の価値まで否定しないことだと強調する。
「そう、我々、ゾンビのように何度でも立ち上がるのです」と結んでいる。



