斎藤幸平 たった一冊の本で人生が激変した『武士道』からマルクスへ
斎藤幸平 一冊の本で人生激変 武士道からマルクスへ

東京大学大学院准教授の斎藤幸平氏は、10代の頃、新渡戸稲造の『武士道』に熱中していた。アメリカのルーズベルト大統領も愛読したことで知られるこの本を通じ、日本的な価値観を世界に発信し、非武装平和主義などで自立した国家を目指すべきだと考えていた。現代日本の問題は武士道の衰退による精神的退廃から生じているとし、忠義や仁といった徳を取り戻せば解決できると信じていた。

内村鑑三の影響で米国へ

新渡戸と同時期に内村鑑三も読んでいた斎藤氏は、内村のように米国のリベラルアーツ・カレッジで学びたいと考え、高校卒業後、コネチカット州のウェズリアン大学に進学。学期開始までの半年間、東京大学に通った。

大学では手当たり次第に本を読み、周囲の同級生の読書量に刺激を受けた。その時期に参加していたゼミで手に取ったのが、マルクスとエンゲルスの共著『ドイツ・イデオロギー』だった。

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マルクスとの出会いが思想を根底から覆す

この一冊が斎藤氏の人生に大きな転換をもたらした。それまで精神論であらゆる問題を乗り越えようとしていたが、マルクスの主張に触れ、若き『武士道』信者の思想は根本から覆されたという。

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