さくらももこさんの漫画「ちびまる子ちゃん」が2026年、連載開始から40周年を迎えた。1986年に少女漫画誌「りぼん」で連載が始まった本作は、静岡県清水市(現・静岡市清水区)を舞台に、作者の子供時代を投影した小学3年生の女の子・まる子の日常を描く。おおざっぱでなまけ者だが好奇心旺盛なまる子と、家族やクラスメートたちが織りなすユーモアあふれる物語は、今もなお幅広い世代に愛されている。
作画担当・小萩ぼたんさん「さくら先生の世界を大切に」
さくらさんが2018年に急逝した後、物語は途絶えることなく続いている。90年代半ばからアシスタントを務めていた小萩ぼたんさんが遺志を継ぎ、さくらさんがアニメ用に残した脚本を基に漫画を描いている。小萩さんは「不安もありましたが、さくら先生も漫画に残したいと言っていたので、できる限りのことをやってみようと思いました」と語る。
小萩さんは、さくらさんのラジオ番組に送ったはがきのイラストがきっかけでアシスタントになった。初対面で「まる子がそのまま大人になったような人」と感じたという。さくらさんは口出しせず、「どのクオリティーの仕事ができるのか、どこまで作品を理解しているかという目線が鋭かった」と振り返る。
作品の魅力について「まる子のおバカな行動に笑いつつも、人間味を感じてしまうところ。シニカルながらも冷めた目線ではなく、温かなまなざしも向けられている」と語る。特にまる子を描くのは難しく、「シンプルな分バランスが絶妙で、少し位置が違うだけでかわいさがなくなる。毎回苦労している」と明かす。2022年には最新18巻が発売され、今後も「さくら先生の『ちびまる子ちゃん』の世界を大切に描いていきたい」と意気込む。
アニメ監督・高木淳さん「原作を大事に忠実に」
テレビアニメは1990年の放送開始から現在まで続き、2026年7月5日時点で1706回に達した。主題歌「おどるポンポコリン」は日本レコード大賞(ポップス・ロック部門)を受賞。現在はAdoさんが歌い、さくらさん作詞の「ピーヒャラピーヒャラ パッパパラパ」は広く浸透している。
初回から携わる高木淳監督(63)は「原作を大事に忠実に作っています」と話す。作画も原作の雰囲気を出すため平面的に描くのが特徴だ。さくらさんは約200話分のシナリオを書き、「好きなことに対して恐ろしいくらいエネルギーを向ける方だった。現場を信頼して任せてくださった」と振り返る。
まる子について「普通の女の子。ぐうたらで勉強もできないし運動神経も良くない。クラスでも目立たない地味な存在」と捉え、「本当に小さい存在であることを意識している。アニメの主人公によくあるヒーロー・ヒロイン的な強いキャラクターにならないようにしている」と語る。まる子役の菊池こころさんにもそのように伝えているという。
印象的なエピソードとして「まるちゃん 南の島へ行く」の巻(1期31、32話)を挙げ、「日焼けしたまる子がかわいくて、笑いあり、冒険あり、ハートフルなシーンもあり、とてもいい話」と評価する。原作にはないオリジナル話を作る際は「作り手のやりたいことを押しつけない」よう心がけ、「(まる子たちは)あの世界の中で生きて生活している。彼女たちはどう動きたいんだろうと考え、無理やりやらせないようにしている」と説明する。
今後の意気込みとして「極端なことが起きない世界なので、基本は同じように作っていくが、ポイントポイントでちょっと違った強めの話も作っていけたら」と語った。なお、毎週の次回予告のコメントは高木監督が収録前の短時間で考えているという。
声優・菊池こころさん「TARAKOさんのまるちゃんが一番大事」
2024年3月にTARAKOさんが逝去した後、菊池こころさん(43)がまる子役を引き継いだ。菊池さんは小学生の頃から毎週番組を見る大ファンで、プレゼントで当選したハンドタオルを今も大切に保管している。突然の訃報に悲しみつつも、「声優業界でまるちゃんに一番詳しいのは絶対に私。ほかの人に渡したくない。受けなかったら後悔すると思った」とオーディションに挑み、大役を射止めた。
まる子を演じる上で難しいのは言い回しや声だが、指針となっているのはTARAKOさんのまる子だ。「TARAKOさんがやっていたまるちゃんが一番大事です」と常に思い浮かべながら収録に臨んでいるという。
菊池さんはTARAKOさんとの唯一の共演を明かした。2018年8月の1162話「まる子、幽霊を助ける」の巻で、幽霊のお花ちゃん役として出演した際、収録後にTARAKOさんから「また来てほしい」と言われ、有頂天になったという。その後まる子役に決まり、「また来たよって思ったんですけど、ちょっと違っちゃったなって。TARAKOさんがいたら一番よかったなと思って」と述懐する。現在のアフレコ収録は和気あいあいとしており、「皆さん優しくていつも楽しい。難しいことも全部楽しい」とやりがいを感じている。
ゆかりの地に新施設、ファンクラブも始動
2026年7月4日には、さくらさんが生前愛した岐阜県郡上市八幡町に「さくらももこと郡上八幡」がオープン。国の登録有形文化財「郡上八幡 町屋敷越前屋」を活用し、描き下ろしアートやさくらさんの言葉を紹介するパネルを展示。さくらさんが作ったご当地ヒーロー「GJ8マン」も館内に登場し、地域の魅力を発信している。開館時間は午前10時~午後5時(入場は午後4時半まで)、無休。有料エリアは大人1000円、小人500円、未就学児無料。
また、公式ファンクラブ「さくらももこ OFFICIAL FAN CLUB」もスタート。オリジナル会報誌や会員限定イベント優待などの特典があり、入会時には6600円(入会費1100円+年会費5500円)が必要。申し込みは公式サイトから受け付けている。



