メルセデス・ベンツが全面刷新した新型「CLA」は、次世代車向けプラットフォーム「MMA」を採用し、新開発の48Vマイルドハイブリッドシステムや独自開発の車載OS「MB.OS」を搭載するなど、今後のメルセデスの方向性を示す重要なモデルだ。
流麗な4ドアクーペと先進のデジタル空間
エクステリアは流麗な4ドアクーペのスタイルを継承し、ステーションワゴン風の「シューティングブレーク」も選択可能。インテリアは助手席まで広がる大型ディスプレイ「MBUXスーパースクリーン」(有償オプション)を中心とした先進的なデジタル空間となっている。
ボディカラーは新色の「アクアミント」(ソリッド)を設定。緑とグレーと水色の間のようなニュアンス抜群の色で、有償色の価格は6万円だ。
試乗車の仕様と「ちょうどいい」サイズ感
試乗したのは最高出力140kW(190PS)、最大トルク300Nmの1.5L直列4気筒ターボエンジンと48Vハイブリッドシステムを組み合わせた「CLA 220」。価格は687万円だ。試乗車には「AMGラインパッケージ」(59.8万円)、「アドバンスドパッケージ」(57.8万円)、「アクアミント」(6万円)が装着され、計810.6万円。保証プラス(13.2万円)とメンテナンスプラス(17.6万円)を含めると841.4万円だった。
ボディサイズは全長4,725mm(AMGラインパッケージ装着時は4,730mm)、全幅1,835mm、全高1,470mm(AMGラインで1,455mm)。運転席に座った瞬間から車両感覚がつかみやすく、街中でも狭い道でも神経質になる必要がない。プレミアムブランドのセダンとして十分な存在感を備えながら、日本の道路環境でも持て余さない絶妙なサイズ感に収まっている。
走らせると乗り味は非常に洗練されていて静粛性も高い。ドライブモードを「コンフォート」から「スポーツ」に変更すると、アクセル操作に対するクルマの動きが明らかにリニアになり、踏んだ分だけ加速する感覚は電気自動車(EV)的ですらあった。48Vハイブリッドシステムにより、発進時などの低速時にはモーターのみでの走行も可能で、平らな道であれば時速10~15kmくらいまではエンジンを始動させずに走ってくれるという。
MB.OSが生み出す新しいデジタル体験
今回の試乗で最も印象に残ったのは、走り以上にデジタル体験だった。新型CLAは独自開発の車載OS「MB.OS」を搭載し、これを基盤に最新世代のMBUXや新しいバーチャルアシスタントが動作する。バーチャルアシスタントの動作はアニメーションで確認でき、デザインは3種類から選択可能。写真のキャラクターは「リトルベンツ」という名前だ。
実際に試すと、音声操作の完成度は非常に高い。目的地設定はほぼ会話感覚で完了し、タッチパネルを一度もタッチせずに済ませられる。従来の音声認識システムのように決められた言葉を話すのではなく、「普通にお願いする」感覚で使えるのが便利だ。
バーチャルアシスタントは「絶賛、勉強中」といった印象もあったが、聞き取り能力は高く、杓子定規で紋切り型の受け答えではなく、生成AIとチャットしている感覚で話すことができた。MBUXバーチャルアシスタントは複数のAIを統合したシステムで、何を聞かれたかを判断して答えるAIを瞬時に選択している。中のAIはメルセデス・ベンツだけの閉じられたクラウドにつながっているため、スマホのAIほどスマートで洗練された雰囲気ではなかったものの、ユーザーが話しかければアシスタントも進化していくのではないかと感じた。
一方で機能が非常に充実しているだけに、すべてを使いこなすには多少の慣れが必要だ。1時間半ほど乗ったが、おそらく新型CLAのデジタル機能の数%しか体験できなかったのではないか。もっとも、これはスマホでも同じことだが。
“現代のメルセデス入門車”に最適な一台
ひと昔前であれば「メルセデスに乗るなら、まずCクラス」というイメージが強かった。しかし今回のCLAを体験すると、その役割はすでにCLAへと移りつつあるのではないかと思った。今のCLAはかつてのCクラスと同じくらいのサイズ感で、「立派さ」の面でも物足りなさは感じない。
扱いやすいサイズ感、十分以上の質感、最新のデジタル体験、そして必要十分どころか想像以上に楽しい走り。このクルマでメルセデス・ベンツにデビューすれば、その後も長い付き合いになってしまうのではないかという感じがした。SUVもいいけど、やっぱりセダン(クーペ)はカッコいい。



