厳しい暑さが続く中、街中で暑さをしのぐためのサービスや技術が広がっている。大阪・ミナミでは、衣服をぬらしにくい高性能ミストが登場し、最先端技術を使った放射冷却素材の日傘も販売されている。企業が暑さ対策をビジネスにつなげようとする一方、行政も民間施設を一時的な避難先として活用するなど、官民それぞれの取り組みが進んでいる。
大阪で最高気温38.6度、熱中症搬送は全国最多
大阪市では8月3日に今年の最高気温となる38.6度を観測した。消防庁によると、3~9日の大阪府内の熱中症による救急搬送は前年同期比約12%増の648人で、全国で最多だった。
「濡れないミスト」と「宇宙に熱を逃す」日傘
ミナミにある道頓堀の「かに道楽 道頓堀本店」前では、微細な気泡で汚れを洗い流すファインバブル技術を手がけるサイエンス(大阪市)が「濡れないミスト」を試験運転している。粒径数マイクロメートルの超微細な霧が噴霧後すぐに気化し、周囲の熱を奪う。同社によると、一帯を歩く人の肌や衣服、商品などに湿り気を残しにくい。昨年の大阪・関西万博で展示した技術を一般の生活空間に導入する初の事例で、駅や商業施設などへの展開を狙う。
かに道楽からほど近い高島屋大阪店では、「宇宙に熱を逃す」とうたう日傘を販売する。日傘はSPACECOOL(スペースクール、東京)が開発した放射冷却素材を使っていて、太陽光などによる熱の吸収を抑えながら、熱を赤外線として宇宙へ放射する。同社の屋外試験では、この日傘を差さない場合に比べ頭頂部の温度が約6度低くなった。昨年の万博では同じ素材がガスパビリオンの外膜に採用され、従来の膜素材に比べ空調エネルギーを最大約4割削減できる可能性を確認したという。
傘シェアやクーリングシェルターも拡大
また、日傘を手軽に借りられる仕組みもある。傘シェア「アイカサ」を運営するネイチャーイノベーショングループ(東京)は7月、関西の鉄道8社と熱中症対策プロジェクト「COOL MOVE OSAKA」を開始。遮光率99.99%以上という晴雨兼用傘1130本を関西圏の約300駅に配置した。1時間未満140円からと利用しやすい料金設定で、沿線での買い物や飲食にもつなげる考えだ。
自治体も対策を進める。危険な暑さの際に市町村が公民館や図書館、商業施設などを避難先として指定する「クーリングシェルター」は、8月5日時点で全国1259市区町村に広がった。大阪府も独自に、店舗などで涼める「クールオアシス」を展開し、同日時点で民間の2590施設が参加している。協力施設であることを示すステッカーなどが掲示されており、猛暑時に15分程度、一時避難所として誰でも利用できる。
暑さをしのぐための「買う」「借りる」「休む」という選択肢が街中に広がっている。かつては個人の工夫に委ねられがちだった暑さ対策が、商品やサービス、公共・民間施設を組み合わせて身を守る取り組みへと変わりつつある。



