クラウドストレージ事業者のBackblazeは2026年7月9日(現地時間)、自社データセンターのHDD故障率をまとめた四半期レポート「Drive Stats」を公開した。対象期間は2026年第1四半期(2026年1月1日〜3月31日)。同四半期末時点で同社が監視していたHDDは34万5662台に上る。
このうち起動専用の3907台と集計条件を満たさない492台を除いた34万1263台の年間平均故障率(AFR)は1.24%だった。AFRは故障件数を総稼働日数で割って年換算した値で、数値が小さいほど故障しにくい。今四半期の1.24%は前四半期を上回り、前年同期を下回る水準だ。
故障ゼロだったHDDはこれだ
2026年第1四半期に故障が1件も発生しなかったのは、以下の3モデルだった。なお集計対象は、台数が100台を超え、四半期の総稼働日数が1万日を超えるモデルに限られる。
- HGST(現在のブランド名はWD)「HMS5C4040BLE640」(4TB)
- HGST「HUH728080ALE600」(8TB)
- Seagate「ST16000NM002J」(16TB)
故障が1件だけだったモデルは5つある。Seagate「ST8000NM000A」(8TB)とSeagate「ST12000NM000J」(12TB)、Seagate「ST14000NM000J」(14TB)、Seagate「ST16000NM000J」(16TB)、Toshiba「MG09ACA16TE」(16TB)だ。
ただし、故障件数の少なさは故障率の低さを意味しない。Seagate「ST16000NM000J」は稼働台数が129台しか残っていないため、1台の故障でAFRは3.61%まで上がった。運用台数が少ないモデルほど、故障率は1台の故障で大きな差が出る。
大容量モデルへの移行が進む
2026年第1四半期に新しいモデルは追加されなかった。Backblazeによると、直近8四半期のうち6四半期は新モデルが加わっており、追加のない四半期は珍しい。一方で大容量化は続いている。同社は直近の四半期に1220台を導入し、そのうち9404台が容量20TB超だった。20TB超のHDDは稼働期間が短いものの、群としてのAFRは0.85%にとどまる。
通算の故障率(生涯AFR)は1.39%だった。生涯故障率の集計には、Toshiba「MG09ACA16TE」(16TB)とWDC「WUH722222ALE6L4」(22TB)、WDC「WUH722626ALE6L4」(26TB)の3モデルが新たに加わった。長く使われてきた4TBモデルは集計の基準を下回った。HGST「HMS5C4040ALE640」は運用を終え、HGST「HMS5C4040BLE640」も186台を残すのみだ。
「初日の故障」を数えられない理由
Backblazeは今回、特定のモデルで通常と異なる挙動を確認したと説明している。原因は2種類の機械的な問題だった。一つは書き込みに影響するもので、もう一つは電源のオンオフを繰り返す際に影響するものだ。同社は電源のオンオフの頻度を下げて影響を抑え、対象のHDDを含むシステムを新規のアップロードを受け付けない状態にして予防に回した。
この調査の過程で、集計方法そのものの限界も明らかになった。Drive Statsのプログラムは、前日まで存在していたHDDが当日に応答しなくなった場合、そのHDDを故障として記録する。この条件では、稼働初日に故障したHDDを故障として数えられない。
Backblazeは、初日の故障をこれまで過小に報告してきた可能性が高いと認めている。ただしデータセンターに投入する前に選別の工程を経ているため、初日の故障自体はまれだとしてる。



