高知農、初出場で惜敗も粘りの投球と盗塁阻止で勇気を届ける
第98回選抜高校野球大会第3日の21日、21世紀枠で初出場を果たした高知農は、1回戦で日本文理(新潟)と対戦し、1-8で敗れた。甲子園での初勝利とはならなかったものの、選手たちの諦めない全力プレーに惜しみない拍手が送られた。
山下投手の粘りの133球完投と山本捕手の活躍
試合は、四回一死一、三塁の場面で栗山典天選手の適時打により1点を返したが、五回に連打を浴びてリードを広げられた。それでも、山下蒼生投手は粘りの投球で133球を投げ切り完投。初めての甲子園で新2年生が躍動し、捕手に専念して1年足らずの山本滉壬朗選手は、日本文理の盗塁を3度阻止してナインの士気を高めた。
一回二死、四球の一塁走者がスタートを切ると、山本選手は捕球したボールを素早く右手に持ち替えて二塁にストライク送球。二回にも二盗を2度アウトにして勢いを止めた。中学時代は外野手だった山本選手は、高知農に進んでから本格的に捕手を始め、最初はショートバウンドに「びびっていた」と振り返るが、体で止めるよう心がけた。二塁送球では、捕球後の左足の踏み出し方を工夫し、練習の成果を夢の舞台で発揮。「自分のプレーでここまで歓声を受けたことはなかった」と喜びを語った。
チームの結束と監督のコメント
山下投手は後輩の活躍に感謝し、「『ランナーは任せて』と言ってくれ、気にせず投げられた」と述べた。盗塁の際にベースカバーに入った有光楓馬遊撃手も「山本は肩とコントロールがいいのでアウトを確信していた」と振り返った。下坂充洋監督は「先手を取られたのが痛かった。選手たちは持っている力を出した。見えてきた課題をクリアして夏に臨みたい」とコメントした。
「部員不足の高校に勇気と希望を届ける」と臨んだ今大会で、杉本仁主将は「次は自分たちの力でここに戻ってくる」と決意を新たにした。夏に向けて、真価を問われる日々が始まる。
父親のエールと得がたい経験
高知農のアルプス席には、山下蒼生投手の父で元高校球児の真二さん(60)が応援に駆けつけた。真二さんは高知商の野手として1982、83年夏の甲子園に出場し、83年は準々決勝で桑田真澄さん、清原和博さんを擁するPL学園(大阪)と戦った経験を持つ。
甲子園で初めて打席に立った時は「足が震えた」といい、「桑田投手はコントロールがすごく良くて圧倒された」と振り返る。その時は9-10で惜敗したが、大観衆に見つめられながらのプレーは得がたい経験だったという。息子には試合前夜に「めいっぱい楽しんで、いい景色を見てこい」とメッセージを送り、温かな視線をマウンドに向けていた。
高知農の選手たちは、初出場で敗れはしたものの、粘りの投球と確かな守備で部員不足の高校に勇気を届けた。夏の大会に向けて、この経験を糧にさらなる成長が期待される。



