広島3区の選挙戦、急ごしらえの「同盟」が候補者を翻弄
2026年2月12日、広島3区の衆院選で立憲民主党の東克哉氏(44)が公明党の斉藤鉄夫氏(74)の後継者として出馬したものの、得票は5万8000票に届かず落選した。選挙戦では、急ごしらえの「同盟」に翻弄され、支持拡大に苦しんだ経緯が明らかになった。
突如浮上した新党結成と出馬調整の混乱
1月15日、東氏はニュース映像で立民代表の野田佳彦氏(68)と公明党代表の斉藤氏が国会内で会談し、新党・中道改革連合の結成で合意したことを知った。その2日前、衆院解散の可能性に備え、立民県連は緊急会合を開催。公明党との選挙協力が議題となり、東氏は県連幹部から「おまえが出馬するかどうかが交渉カードになっている」と伝えられた。
広島3区を地盤とする東氏と斉藤氏の出馬調整は水面下で進められ、東氏は比例選での出馬も示唆された。しかし、地方政界の動きを超え、急きょ比例選に回った斉藤氏の「後継者」として担ぎ上げられることになった。東氏は「やるしかない」と覚悟を決めたが、驚きを隠せなかった。
自公連立解消による「敵」からの支援
広島3区は2019年の参院選を巡る大規模買収事件以降、自公統一候補として斉藤氏が勝利を重ねてきた。しかし、自公連立の解消と新党・中道改革連合の誕生により、東氏はかつての「敵」である斉藤氏の支援を受けることになった。
1月27日の公示日、広島市安佐南区の事務所で行われた東氏の出発式には、立民と公明の地方議員が顔をそろえた。来賓あいさつでは、各議員の所属党名が呼ばれなかった。両党ともに中道改革への抵抗を感じる層がおり、その配慮からだった。
勝算から苦悩へ、選挙戦の二転三転
東陣営には当初、勝算があった。前回選で得た約7万2000票に「公明票」を加えると10万近い得票を見込んでいた。陣営幹部は「結集できれば勝てる」と自信を持ち、SNSを活用しながら新党の政策浸透に力を入れる方針だった。
しかし、急ごしらえの「同盟」は東氏を翻弄した。立民関係者の助言で「反自民色」を強く訴えると、公明関係者から「自民と公明は長年選挙協力してきた。批判しすぎるのは……」とたしなめられた。街頭演説の内容は二転三転し、政治とカネ、非核三原則の堅持、子育て支援など、テーマが定まらなかった。東氏は「『中道』を落とし込めていない」と苦悩した。
応援演説も効果薄く、無党派層への浸透不足
選挙戦後半、野田氏と斉藤氏が応援に入った。野田氏は斉藤氏を「てっちゃん」と呼び蜜月ぶりをアピールし、斉藤氏は選挙カーの上で東氏と肩を並べ「中道の旗を受け継ぐのは東克哉さんだ」と強調した。しかし、これらは支持拡大の起爆剤にはならなかった。
2月8日の投開票日、報道各社は開票開始前に自民党の石橋林太郎氏(47)の当選確実を報じた。東氏は事務所で「力不足だった」と頭を下げ、得票数は5万8000票に届かず、石橋氏が10万票以上を獲得した。読売新聞の出口調査では、中道改革と立民、公明の各支持層の7割以上が東氏に投票した一方、無党派層では約3割だった。陣営幹部は「組織の結集に気を回しすぎ、有権者に向けた発信が足りなかった。無党派層に浸透させられなかった」と振り返った。
惨敗の責任と先行きの不安
東氏を含め、県内の小選挙区に立候補した中道改革候補は4人とも落選し、比例復活した者もいなかった。2月9日、野田氏と斉藤氏は惨敗の責任を取って中道改革の共同代表を辞任すると表明した。中央政界に振り回された地方の野党議員たちは、立て直しの見通しに暗雲が漂う。立民県連幹部は「現状では立て直せるか不透明だ」と不安を漏らした。



