群馬・太田の私設図書館が40周年 子どもと本の出合いを大切に
群馬・太田の私設図書館40周年 子どもと本の出合い大切に

群馬県太田市東本町の閑静な住宅地の一角に、子どもたちの笑い声とページをめくる音が響く場所がある。私設図書館「かたぐるま文庫」だ。主宰する小此木京子さん(85)が自宅の一室に絵本箱を置いて始めてから、今年で40年を迎えた。小さな文庫は世代を超えて受け継がれ、地域に静かに根付いている。

きっかけは子育て中の経験

小此木さんは、自動車メーカーに勤めていた夫の次雄さんと東京・阿佐谷で子育てをした。2人の息子を連れて近くの児童館に足しげく通い、子ども向けの本や絵本の読み聞かせに親しむ生活を送った。夫の人事異動に伴い、1986年に夫婦のふるさとである太田市へ帰郷。しかし、当時は子どもたちが気軽に本に触れられる場所が身近になく、寂しい思いをした。「それなら自分たちでつくろう」と、自宅の居間に約100冊の絵本を集め、同年10月に文庫を開設した。

専用のプレハブ小屋を建設

自宅の向かいにはカトリック教会があり、当時は愛児園を運営していたことから、子どもたちが次々と遊びに来るようになった。連日のように集まる子どもたちに、成長した息子たちも戸惑いだした。そこで2年後に広さ約15畳のプレハブ小屋を庭に建て、文庫専用の場所を設けた。絵本の読み聞かせは、阿佐谷時代に通った児童館の先生から教わった。選書にもこだわり、「子どもにとって良くない本は入れず、喜んで読める本をそろえることを大事にしてきた」と小此木さんは語る。来館する親子には、その時々の季節や年齢、興味に合わせて本を薦めてきた。文庫の棚は、長年かけて集めた絵本や童話、図鑑などで埋まり、今では約7000冊を数える。

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利用者の声

4歳ごろから通う谷之木賢一さん(8)=九合小学校3年=は「小此木さんに教えてもらって、おばけや妖怪の本が好きになった」と笑う。母の光代さん(43)は「どの本を借りても安心できる。居心地がよく、母親同士のつながりの場にもなっている」と語る。かつてこの場所に通った親子らが、時を経て再び足を運ぶ姿もある。元利用者で、現在はスタッフとして文庫を支える向後陽子さん(41)は「図書館ではどんな本がよいか教えてもらえなかったけど、ここはそうじゃなかった。だから好きになった」と話す。

未来への思い

次雄さんは十数年前に他界し、2人の息子も立派な大人になった。40年もの長い間、文庫を続けてこられた理由を小此木さんは「子どもたちから喜びがもらえるから」と語る。「成長に応じて子どもたちの好きな本が変わっていくのを見るのも楽しい」という。入館料や貸出料は一切取らず、図書の購入は自費や寄付金などで賄ってきた。今後については「(向後さんら)若い人が引き継いでくれたら」と願いつつも、「新たな本と出合える機会を提供していきたい」と、まだまだ頑張るつもりだ。毎週火曜日午前11時~午後1時と第2・4土曜日午後2~5時に開館。問い合わせは向後さん(電話090-8500-1066)へ。

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