政府が陸上自衛隊の88式地対艦誘導弾について、フィリピンへの輸出を検討していることが15日、関係者への取材で明らかになった。4月に防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、殺傷能力のある武器の輸出を解禁したばかりで、東・南シナ海で軍事活動を活発化させる中国の抑止を念頭に、連携強化につなげる狙いがある。
小泉防衛相が会見で言及
小泉進次郎防衛相は15日の記者会見で、誘導弾輸出に関し「現時点で決まった事実はない」と説明。一方で、5日にフィリピンのテオドロ国防相との会談で設置に合意した装備品協力に関する実務者協議枠組みに触れ、輸出する装備品の特定に向けて「積極的に議論していきたい」と意欲を示した。
背景と戦略的意義
政府は4月に防衛装備移転三原則を改定し、殺傷能力のある武器の輸出を原則禁止から条件付きで解禁した。この政策転換は、中国の海洋進出に対抗するため、同盟国や友好国との防衛協力を強化するのが目的。88式地対艦誘導弾は陸上自衛隊が運用する沿岸防衛用のミサイルで、射程は約150キロ。フィリピンは南シナ海で中国と領有権問題を抱えており、同国への輸出が実現すれば、地域の安全保障環境に影響を与える可能性がある。
また、政府は装備品協力に関する実務者協議枠組みを通じて、具体的な輸出装備品の選定を進める方針。小泉防衛相は「フィリピンとの防衛協力を深めることで、自由で開かれたインド太平洋の実現に貢献したい」と述べ、輸出を前向きに検討する姿勢を示した。
今回の動きは、4月の殺傷武器輸出解禁後、初めての具体的事例となる可能性があり、国内外から注目を集めている。政府は今後、フィリピン側との協議を本格化させ、輸出の可否を判断する見通し。



