国家情報会議設置法成立、認知戦への対処能力強化が急務
国家情報会議設置法成立、認知戦対処能力強化急務

先進国などに比べて脆弱だとされてきた日本のインテリジェンス(情報収集、分析)機能を強化する道筋が、ようやくついたと言えるだろう。国家情報会議設置法が成立したことで、情報収集の司令塔となる新組織が設けられることとなった。

国家情報会議の概要と役割

国家情報会議は、議長となる首相のほか、外相、防衛相、国家公安委員長ら関係閣僚で構成される。会議の事務局として、現在の内閣情報調査室を改組して国家情報局を設置。情報局には各省庁が持つ外交や国益に関わる情報を集約する権限が与えられた。

内閣には既に外交・安全保障政策の司令塔として、首相が議長を務める国家安全保障会議があり、その事務局の国家安全保障局も重要な情報を扱っている。新設される国家情報局と既存組織の間で情報が錯綜し、政策判断を誤るようなことがあってはならない。組織間の主導権争いは避けるべきだ。

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認知戦への対応と偽・誤情報対策

近年、対立する国同士が相手国の世論を操作しようとする認知戦が展開されるようになった。偽・誤情報は、AI(人工知能)によって容易に作成可能となり、自動投稿プログラムで拡散される例が多い。国家情報局は偽・誤情報の出所や意図を特定し、誤った内容だと発信していく必要がある。AIなどの技術に対抗できる専門人材の育成も不可欠だ。

先端技術に関する機微な情報が海外に流出するケースは少なくない。政府は2021年、中国人研究者が日本の大学で極超音速技術を学んだ後に帰国し、その技術を使って兵器開発に携わっていたことを把握した。外国勢力による不審な活動の把握に努め、安全保障上の脅威を取り除くことが求められる。

プライバシー懸念と政府の説明責任

設置法の審議では、一部の野党が国家情報局による一般国民の監視とプライバシー侵害の恐れを批判した。これに対し首相は、政府が活動を調査するのはあくまで外国勢力であり、日本の市民団体などは対象外だと繰り返し答弁した。組織の強化によって個人情報が脅かされるのではないかと漠然と不安を抱く人がいるのは無理もない。

しかし、情報収集を疎かにすれば、防衛産業が持つ装備品の機微な情報などが流出しかねない。政府は情報収集や分析の重要性を丁寧に説明し、国民の理解を得る努力を続けることが重要だ。国家情報会議と国家情報局の設立は、日本の安全保障と情報戦略における大きな一歩となる。

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