2026年5月8日、ホルムズ海峡を航行する船舶の写真が報じられた。イラン情勢をめぐり、日本政府は米国とイランの停戦後を見据え、ホルムズ海峡へ自衛隊を派遣する方法について検討を進めている。水中にしかけられた爆弾(機雷)を取り除く「機雷掃海」が有力視されるほか、海上で人命などを保護する「海上警備行動」として護衛艦などを派遣する案もある。ただ、法的な課題も多い。
小泉防衛相が国際会合に出席
小泉進次郎防衛相は13日、英仏主導でホルムズ海峡の安全確保に向けた多国籍部隊を派遣する計画を協議するための国際オンライン会合に出席した。会合は約1時間で40カ国以上が参加したという。防衛省によると、小泉氏は計画への幅広い支持を確保するためには「停戦合意、イランとの意思疎通、現場での脅威の低下が必要だ」との考えを伝えたほか、計画の成功に向け「現実的に考えれば米国ともしっかり意思疎通することが重要だ」などと述べた。
海上警備行動による船舶護衛を検討
複数の政府関係者によると、政府内で検討されてきたのが、自衛隊法82条に基づく「海上警備行動」による民間船舶の護衛だ。船が安全に通航できるルート「海上回廊」を他国と協力して確保するものだ。日本はこれまで、国際会議などでIMO(国際海事機関)を通じた「海上回廊」の設置を提案してきた。政府内では、より具体化した案として、ゾーンディフェンス(区域防衛)の概念も浮上している。これは、特定の海域を多国籍部隊で防衛する方式で、各国が分担して警戒にあたる。
機雷掃海の重要性
機雷掃海は、ホルムズ海峡の安全確保において極めて重要な任務とされる。機雷は安価で設置が容易なため、紛争時に非対称戦術として使用されるリスクが高い。自衛隊は機雷掃海に必要な装備と訓練を有しており、過去にもペルシャ湾などで実績がある。しかし、停戦後の派遣であっても、機雷掃海は危険を伴い、自衛隊員の安全確保が課題となる。
法的課題と今後の展望
自衛隊の海外派遣には、憲法9条や自衛隊法の制約がある。政府は「海上警備行動」や「機雷掃海」を「存立危機事態」に該当するかどうか、慎重に判断する必要がある。また、多国籍部隊への参加には、国会承認や国際法上の根拠も求められる。政府関係者は「法的な整理を急ぐとともに、与党内の理解を得ることが不可欠だ」と述べている。
日本政府は今後、米国や英仏などと調整を進め、停戦後の具体的な派遣計画を策定する方針だ。ただし、イラン側の同意や周辺国の協力が得られるかどうかが鍵となる。ホルムズ海峡は世界の原油供給の約20%が通過する要衝であり、その安定は国際社会全体の利益につながる。



