東京変貌:タワマンに飲み込まれる大山商店街、住民の不安と再開発の現実
東京変貌:タワマンに飲み込まれる大山商店街

東京変貌:再開発に揺れる大山商店街、タワマンがもたらす分断と不安

東京の歴史ある商店街にも再開発の波が押し寄せている。なじみの店が消え、代わりにタワーマンションがそびえ立つ。東京都板橋区の「ハッピーロード大山商店街」では、全長560メートルのアーケードが途中で分断され、その先には高さ90メートル超のタワーマンションが2棟建設された。地元住民からは、商店街の衰退やコミュニティの分断を懸念する声が上がっている。

アーケード分断とタワマン建設の背景

商店街の中心部を貫く都道整備に伴い、「クロスポイント周辺地区」で再開発が行われた。その結果、商店街のシンボルであったアーケードが68メートルにわたって撤去され、跡地にはタワーマンションが建設された。再開発により立ち退きを余儀なくされた加盟店23店のうち、タワーマンション内の商業スペースに再入居した店は1店もない。代わりに大手スーパーやコンタクトレンズ専門店、クリニックなどが入居している。

地元商店主の悲痛な声

立ち退きを迫られた商店主からは、再開発に対する不満や不安の声が相次いでいる。和菓子店「伊勢屋餅菓子店」を営む菊入哲夫さんは、創業70年の歴史を持つ店を守りたいと語る。「アーケードが切れて客足が変わった。雨の日は屋根が途切れたところで客が引き返してしまう。土日で300本売れる団子が100本ほどになる日もある」と売り上げ減少を嘆く。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

眼鏡店「八光堂」の店主、糸井保さんも立ち退きを迫られている。再開発組合から提示されたタワーマンション1階の店舗は、坪2万5000円と周辺相場の1万5000円を大きく上回る賃料で、営業継続は困難だという。「ここで生活している人のことを考えていない。地主が合意したからどきなさい、というのはないでしょう」と糸井さんは無力感をにじませる。

再開発の経緯と住民の疑念

再開発のきっかけは、長年の懸案だった都道整備が動き出したことだ。周辺は木造密集地が広がり、防災上の課題があった。板橋区は当初、低層ビル主体の「身の丈に合った再開発」を模索したが、2015年に都道の事業化が決定すると、タワマン主体の再開発に方針転換した。区は「身の丈開発は収益性の問題で事業が成立しなかった」と説明する。

しかし、地元では「今さら道路が必要なのか」という疑念もくすぶる。2026年3月に区が公表した「都市づくりビジョン」によると、商店街周辺の不燃領域率は再開発着手前の2016年時点で69%と、都が延焼可能性ゼロとする70%に近い水準だった。再開発の必要性に疑問を呈する声も聞かれる。

さらなる再開発計画と商店街の未来

商店街の再開発はこれで終わりではない。アーケードが途切れた先の「ピッコロ・スクエア周辺地区」では、2033年度までに高さ100メートル超のタワーマンション2棟を建設する計画が進行中で、19の加盟店が立ち退き対象となっている。伊勢屋や八光堂もその中に含まれており、退去期限は6月末に迫る。

商店街振興組合は再開発に期待を寄せる一方で、アーケード撤去については「断腸の思いで着手した」と説明する。しかし、地元住民からは「タワマンを喜ぶのはデベロッパーだけだ」と冷めた声も聞かれる。戦後の闇市から始まり、庶民の手で築き上げられてきた大山商店街。その伝統とコミュニティが、再開発の波に飲み込まれようとしている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ