障害者が職業訓練を行う就労支援B型と呼ばれる作業所のうち、利用者の半数以上が在宅で作業する施設が2025年までの4年間で3.2倍に増えていることが、厚生労働省のまとめで分かった。県内でも在宅が半数以上の施設が5カ所確認されている。新型コロナウイルス禍を機に、一定の要件を満たせば在宅での作業が認められたことが増加の背景にあるとみられる。
在宅作業の広がりとその背景
作業所では、利用者が通所し縫製や食品加工などに取り組むことで工賃が支払われる。要件の緩和により、通所が難しい視覚障害者がリモートで施設の担当者と会話しながら、自宅で音声データの文字起こしを行い工賃を得られるようになるなど、訓練を受けられる人の幅が広がっている。
作業所を利用する人は、障害の種類や住んでいる場所などによってニーズがそれぞれ異なる。通所と在宅の利点を生かし、一人一人に合った支援を提供できるようにしていくことが重要だ。
在宅支援の課題
在宅支援の広がりには課題も指摘されている。eスポーツと称してテレビゲームをさせたり、家で植物の水やりを1日数回させたりして生産活動とみなすケースが見られるようになっている。
作業所には、利用者1人当たり月15万円前後の給付金が国や自治体から支給される。厚労省は、一部の事業者が必要のない在宅作業をさせることにより、施設で対面支援に当たる人員を減らし、利益を増やしているとみている。
家でゲームや水やりをさせることが、訓練を通じ障害者の社会参加を図る作業所の目的に沿うものであるのかは疑わしい。厚労省は要件緩和の負の影響に対応できていないと指摘せざるを得ない。
厚労省の対応と今後の展望
厚労省は先月、県や中核市などに在宅作業の訓練効果や、スタッフの定期的な訪問の有無の確認を徹底するよう通知を出した。県などは作業所の実態の把握を進め、利用者に適切な支援が提供されるよう指導を強化してほしい。
県内の福祉関係者からは在宅作業の需要に理解を示しつつ、「通所主体の作業所の利用者が減り、生産活動が十分に行えなくなるのが心配だ」との声が聞かれる。
厚労省は、在宅支援で作業所に払う給付金について来年度から引き下げることを検討している。厚労省の資料によると、在宅を軸にした作業所経営は未経験でも安定した収益が得られるとして、新規事業者の参入を呼びかけるコンサル会社などが確認されている。利益のみを目的とした参入を抑え、質の高い支援が担保される環境を整えることが不可欠だ。



