ビル建設中の用地を「田畑」課税は違法 大阪高裁が二審でも市側の控訴を棄却
2026年2月19日、モーター大手ニデック(旧・日本電産)が京都府向日市に建設した拠点ビルに関する固定資産税を巡る住民訴訟の控訴審判決が大阪高等裁判所でありました。古田孝夫裁判長は、市が課税をやり直さないことを「違法」と判断し、市側の控訴を退けました。この判決は一審の京都地方裁判所の判断を支持するもので、市の対応に司法の厳しい目が向けられました。
実態無視の「田畑」課税が問題に
ニデックは2020年5月に農地だった場所の使用権を取得し、同年12月にビル建設を起工、2022年7月に完成させています。しかし向日市は2021年度と2022年度の固定資産税について、土地の使用実態に即した「みなす課税」を適用せず、地目を従来の「田畑」のまま据え置きました。これにより比較的低い税率が適用され、適正な税収が確保されなかったのです。
大阪高裁は判決で、賦課期日である各年1月1日の時点で、地目はすでに「宅地または雑種地」に変わっていたと明確に指摘しました。固定資産評価は土地の現況と利用目的に重点を置くべきであり、市が「みなす課税」をしなかったことは違法であると結論づけています。
約1700万円の税収逸失と市民の声
原告弁護団によれば、市が田畑として課税を続けたことで、約1700万円余りの税収が逸失したと推定されています。この金額は市民サービスや公共事業に充てられるべき重要な財源であり、その損失は市民全体に影響を及ぼす問題です。
原告の水島雅弘さん(82歳)は判決後に会見し、「市民にとって望ましい判決が得られて安心しました。市には早急に差額を徴収し、新しい事業や市民のための施策に活用してほしいと願っています」と述べました。一方、向日市は「判決の詳細をまだ把握していないため、現時点ではコメントできない」としています。
固定資産税制度の適正運用が課題に
この判決は、地方自治体の固定資産税課税における実態把握の重要性を浮き彫りにしました。土地の利用状況が変化した場合、自治体は迅速かつ適切に評価を見直し、公平な課税を実施する責任があります。特に大規模な開発が進む地域では、税制の透明性と公正さが強く求められるでしょう。
今後、向日市が判決を尊重し、どのように対応するかが注目されます。また、同様の事例が他の自治体で発生しないよう、制度の運用改善が課題となるかもしれません。市民の監視と司法のチェックが、適正な行政執行を支える重要な要素であることを示す判決と言えます。



