奈良県天川村の大峯山寺に安置されている本尊であり、長らく秘仏とされてきた蔵王権現立像(12世紀末~13世紀初め)が、初めて山から下ろされ、奈良国立博物館(奈良市)で開催中の特別展「神仏の山 吉野・大峯―蔵王権現に捧げた祈りと美」で公開されている。
険しい山道を人力で搬送
同館によると、この秘仏は険しい山道を約2時間かけて、背負い運びやトロッコを用いて運ばれた。搬送を担当したのは、文化財輸送に精通する物流大手「日本通運」関西美術品支店(京都市)。三重県や岡山県からも応援を得て、若手社員7人が搬送作業にあたった。
搬送の詳細
昨年9月18日、山上ケ岳(標高1719メートル)にある大峯山寺から、仏像を納めた木箱を背負い、中腹のトロッコ駅まで険しい岩場や滑りやすい山道をつえを頼りに進んだ。搬送したのはこの秘仏のほか、別の蔵王権現立像など計7体。ほとんどの仏像は金属製で、木枠に入れて運ぶため、1箱の重さは約25~35キロにもなった。
展示は今回限り
同行した奈良国立博物館の山口隆介美術工芸室長は「山頂のお堂でもほとんど見ることができない秘仏。表面に金箔が残っており、当時は輝いていたはず。博物館で見ることができるのは今回限りだろう」と話している。



