上関町議選、中間貯蔵施設を巡る賛否が争点に
山口県上関町議会議員選挙(2月22日投開票)が、2月17日の告示まで1週間を切った。中国電力が同町で建設を計画する使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」について、立候補予定者12人のうち11人への取材で、賛否が明らかになった。賛成が7人、反対が3人、どちらでもないが1人と回答し、町議選でこの問題が争点として議論されるか注目が集まっている。
中間貯蔵施設とは何か
中間貯蔵施設は、原子力発電所の使用済み核燃料を一時的に保管する施設である。上関町で建設されれば、青森県むつ市に次ぐ全国2か所目となる見通しだ。中国電力は2023年8月に施設建設の構想を明らかにしており、今回の町議選はその後の初めての選挙となる。
賛成派の主張:財政安定と人口減少対策
定数10に対し、12人が立候補を予定している。賛成と回答した立候補予定者からは、建設に伴う交付金を財源として挙げる声が多かった。
「現在の住民サービスを維持するためには、財政の安定が不可欠だ」や「町民が普通の暮らしを続けるための財源確保が期待できる」といった意見が聞かれた。町は2023年、使用済み核燃料1000トンを50年間貯蔵した場合、調査から操業終了までに計360億円の交付金が入ると試算を町議会に示している。
上関町の人口は昭和30年代に1万人を超えていたが、今年1月時点では2000人余りに減少。賛成派の中には、人口減少対策として、建設業分野での産業育成や雇用創出への期待を語る人もいた。さらに、国のエネルギー政策への貢献を理由に挙げる声もあった。
反対派の懸念:安全リスクと町の姿勢
一方、反対を訴える立候補予定者からは、国の核燃料サイクルの先行きが不透明な点を指摘。「中間貯蔵ではなく、永久貯蔵になる懸念が払拭できない」との考えが示された。施設が中国電力だけでなく、関西電力の使用済み核燃料も受け入れる可能性があることから、「危険物を遠くから運搬するリスクが大きい」との意見もあった。
中国電力は昨年8月、予定地の地盤調査結果として「立地は可能」とする報告書を町に提出したが、施設規模などの事業計画は「策定中」として示していない。反対派からは、「町民へのメリットやデメリットの説明を、町が事業者任せにしている姿勢が問題だ」と批判する見方も出ている。
町民の声と懸念
町民は今回の町議選に何を期待しているのか。町内の「道の駅上関海峡」で買い物をしていた60歳代の女性は、「中間貯蔵施設の賛否双方の意見を知る機会となり、議論が深まることを期待する」と語った。
しかし、町が原発本体の誘致を表明してから40年以上、町が賛否で二分されてきた経緯がある。70歳代の男性は、「意見の相違が表面化することで、町民の仲が悪化しないか心配だ」と懸念を口にした。
周辺自治体の動向
中間貯蔵施設を巡っては、周辺自治体の議会でも反対決議や請願の審議が行われており、注目度が高まっている。
- 田布施町議会は昨年3月、建設に反対する決議案を賛成多数で可決し、上関町周辺の自治体で初の反対決議となった。
- 柳井市議会では、建設反対の決議を求める住民団体の請願書が継続審査だったが、改選に伴い昨年末に審議未了で廃案となった。
- 周防大島町議会では、住民説明会の開催や住民アンケートの実施を求める請願書が継続審査中だ。
町長の見解と選挙の意義
上関町の西哲夫町長は、町議選での中間貯蔵施設に関する議論の深まりに期待している。町が将来、施設の受け入れ是非を判断する際に、「選挙の結果が大きな判断材料になる。候補者は自身の考えを訴え、町民の支持を得てほしい」と述べた。
施設に関する住民投票や住民アンケートの実施については、「行政として町民の対立をあおる可能性があり、実施しない方が良い」と否定的な考えを示した。町議選の意義を、「賛否を訴えるのは候補者であり、有権者である町民がその訴えをどう判断するかが重要だ」と強調した。



